企業にとって、新入社員の退職は大きな問題です。教育投資の損失、採用コストの増大、チームの士気低下、企業イメージへの影響が考えられます。新入社員にとっても、退職は大きな決断です。企業が求める人材像と新入社員の価値観が合わない場合や、職場環境が自身の成長に合っていないと感じた場合、退職は自己実現への一歩ともなり得ます。この記事では、新入社員が退職を決断する理由と、それを防ぐための人事施策を考察します。企業と新入社員の双方にとって最良の環境をどのように整えるべきか、そのヒントを提供することを目指します。
目次
- 新入社員の離職率の状況
・新入社員の3年以内の退職率は30%
・2020年の新入社員の離職率 - 新入社員が会社を辞めたい(退職したい)と思う、8つの主な理由
・入社前に想像していた仕事内容とギャップがある
・会社の社風になじめない
・将来のキャリアアップと成長のため
・長時間労働など労働環境に不満がある
・職場の人間関係が良くない
・評価や給与に不満がある
・ノルマなどストレスが多い
・仕事の意義が分からず充実感が得られない - 新入社員が退職を検討している可能性があるサイン
・職場でのコミュニケーションが減った
・勤務態度が変化し、休みがちになった - 退職のサインを察知したら 人事担当者のためのアクションプラン
・新入社員に話しかける
・職場のメンバーに新入社員の最近の様子を聞いてみる
・職場の上司へ気になったことや聞いたことを伝える - 新入社員の早期退職が会社にもたらすデメリット
・採用と教育の投資が回収できない
・新しい人材の確保にコストがかかる
・職場モラールが低下する
・企業イメージへ悪影響を及ぼす - 新入社員の退職を防ぐための採用から入社までの人事施策
・採用段階でのミスマッチ防止
・充実したオンボーディングプログラム
・継続的なサポートとフィードバック - 新入社員の定着と成長を支援するための人事施策
・キャリア支援
・ワークライフバランスの促進
・社員エンゲージメントサーベイの実施
・社内コミュニケーションの活性化 - 新入社員の定着率を高めるために管理職が行うべき施策
・適切な評価のフィードバック
・職場のメンタルヘルスに対する意識向上
・職場でのポジティブなフィードバック
・適切な仕事の割り当て - まとめ
1.新入社員の離職率の状況
新入社員の早期退職は、企業にとって深刻な問題です。そのため、多くの企業で早期退職の防止に取り組んでいます。しかし、この数年間の離職率は、減ったとはいえない状況です。新規学卒就職者の離職状況のデータを用いて、その現状を確認します。
新入社員の3年以内の退職率は30%
入社3年以内に離職した人の割合(早期退職率)は、厚生労働省が2023年10月に公表した「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)」で示されています(図1)。
1995年(H7)以降、2009年(H21)はいったん落ち着くものの、離職率は30%を上回っています。新規学卒者の就職率が低い時期は離職率が高くなり、新規学卒者の就職率が高い時期は離職率が低くなるという傾向が見られました。しかし、2011年(H23)頃からは就職率の傾向に関わらず、離職率は30%程度を推移しています。
さらに、同プレスリリース内で公表されている他のデータを見ると、離職率は業界や事業規模によっても異なっています。特に宿泊業、飲食サービス業などのサービス業で高く、事業規模が小さい程高くなっています。
2020年の新入社員の離職率
先の厚生労働省の調査では、2020年(R2)の新入社員の離職率は、高校卒業者では37.0%、大学卒業者では32.3%です。
大学卒業者の就職率は、景気回復の影響を受けて過去最高値であった2018年(H30)の98.0%と同様の数値です。
先述したように、離職率は産業や事業規模に影響を受ける傾向にありますが、あくまでも傾向に過ぎません。企業の人事担当者が、新入社員の退職理由とその背景を十分に理解し、会社として早期退職防止と定着に向けた取り組みをすることが求められています。
2.新入社員が会社を辞めたい(退職したい)と思う、8つの主な理由
新入社員が辞めたいと思う理由は、多くの場合、単一ではなく複数の理由が絡み合っています。企業がこれらの要因を理解し、対策を講じることが、離職率の低下につながります。特に、以下の8つの理由は、新入社員が退職を決意する主な理由として挙げられます。
新入社員が会社を辞めたい(退職したい)と思う、8つの主な理由
・入社前に想像していた仕事内容とギャップがある
・会社の社風になじめない
・将来のキャリアアップと成長のため
・長時間労働など労働環境に不満がある
・職場の人間関係が良くない
・評価や給与に不満がある
・ノルマなどストレスが多い
・仕事の意義が分からず充実感が得られない
図2 新入社員が会社を退職したい(辞めたい)と思う、8つの主な理由
入社前に想像していた仕事内容とギャップがある
多くの新入社員は、入社前に描いていた仕事のイメージと実際の仕事内容とに大きなギャップを感じます。特に、責任や明確な役割のある仕事を任されない、想像していた仕事と異なるなどの状況は、新入社員のモチベーションを低下させる要因となります。
会社の社風になじめない
会社が大切にしていることや優先にしていることが実際の業務の中で理解できなかったり、自分が思い描いていた働き方の理想と職場の社風が合わないと感じたりした場合、新入社員は居心地の悪さを感じてしまいがちです。そのような状況にいる新入社員は、他の環境に目を向け始めるでしょう。
将来のキャリアアップと成長のため
キャリアアップやスキルアップの機会が限られている、または自分の望むキャリアパスを描けない場合、他の機会を求めて退職する新入社員もいます。特に入社前に希望した部署や職種に就けなかった社員は、配属後にモチベーションが低下しがちです。
また、将来的なキャリアアップや個人のスキル向上への機会が少ない環境では、新入社員は自身の将来を描くことができず、新たな環境を求めることになります。
長時間労働など労働環境に不満がある
過度な長時間労働や休日出勤が常態化している職場では、新入社員が退職する傾向があります。新入社員が業務に慣れるまで時間が必要ですが、その間、成果や貢献を感じにくい仕事が多いためです。また、業務に慣れるまで過度に任せることは、モチベーションの低下やストレスの原因となることもあります。
職場の人間関係が良くない
職場内の人間関係のトラブルや上司や先輩、同僚などとうまくコミュニケーションが取れず、退職を選ぶ新入社員もいます。「こんなことを質問していいのだろうか」と、気軽に話せないような職場の雰囲気は、新入社員を不安にさせてしまいます。
自分の悩みや不安を上司や先輩に相談できないことは、新入社員にとって大きなストレスです。日々感じる業務の疑問などをその都度、解消することができず、新入社員のスキルを向上させることもできません。このように職場の人間関係が良くないと心理的安全性※1を低下させます。心理的安全性の低い職場は、新入社員の帰属意識や自己評価を低下させ、職場での孤立感を増大させます。
※1 心理的安全性とは
知識創造の時代に入り、リーダーの重要な責務が変わりつつあります。課題や懸念を共有し、アイデアや機会に関してオープンにコミュニケーションができるような安全・安心な環境をつくることが求められています。
致命的な失敗を避け、組織の成果や学び、革新につながる1つの要因として注目されています。
ハーバードビジネススクールのエイミー・エドモンソン博士の心理的安全の定義:
チームメンバーがお互いに「このチームでは対人リスクを取っても安全だ」と信じている状態
評価や給与に不満がある
評価基準が不透明である、給与が業務内容に合わないなど、評価や給料への不満は新入社員に関わらず、社員の退職理由として挙げられます。新入社員にとっても、評価や給与への不満は、大きな要因です。入社前に納得した給与でも、思っていた以上に業務の負荷が大きく、多くの業務を担当することになった場合、給与が業務に見合っていないと思う人もいます。
また、人事制度をよく理解していなかったり、十分に制度の説明を受けたりしていないと、評価に対し、納得感が得られず、不満を持つことになります。このような不満を防ぐためには、会社や上司が事前にしっかりと説明し、適切にフォローすることが重要です。
ノルマなどストレスが多い
業務上のノルマや過度なプレッシャーは、ストレスの蓄積につながり、健康を害することもあります。「なぜ、できないのか」「なぜ、達成できないのか」などと“できない理由”を聞く先輩社員や管理職を見掛けますが、このような問い掛けは、職場環境への適応が不十分で、業務経験が少ない新入社員のストレスとなります。
仕事の意義が分からず充実感が得られない
特に若年層の労働者は、自分の仕事が社会や会社にどのような価値をもたらしているのかを理解したいと望んでいます。そして、自分がどのように貢献できるのかを知りたいと思っています。このニーズが満たされない場合、新入社員のモチベーションは低下し、キャリアに対する疑問が生じてしまい、退職に至ることがあります。
関連コンテンツ
2024年度 新入社員アンケート調査結果(株式会社ビジネスコンサルタント)
ダウンロードはこちらから
このような理由を踏まえ、企業は新入社員が長く働き続けられるような支援策や環境整備に注力する必要があります。
3.新入社員が退職を検討している可能性があるサイン
新入社員が退職を考えているかもしれないサインを見逃さないためには、彼らの行動や態度の変化に敏感である必要があります。特に以下の二つは、新入社員が仕事に対して不満を持ち、退職を検討している可能性が高いでしょう。
職場でのコミュニケーションが減った
職場内でのコミュニケーションの頻度が明らかに減少した場合、それは新入社員が職場環境に適応できていない、または何らかの不満を抱えているサインです。この背景には、上司や同僚との関係性の悪化、仕事にやりがいを感じられない、職場の雰囲気になじめないといった状況が考えられます。このような状況は、新入社員の職場内での孤立を招き、仕事への熱意の低下にもつながります。
勤務態度が変化し、休みがちになった
勤務態度に顕著な変化が見られる場合や、特に欠勤が増えたり、遅刻や早退が常態化していたりする場合は、新入社員が退職を真剣に考えている可能性があります。また、これまで業務に対して積極的だった社員が消極的になったり、以前は責任を持っていた仕事から距離を置くようになったりする場合も、退職を考えているサインです。
勤務態度の変化は、職場や業務への不満や不安が原因である場合が多く、早期に対応しなければなりません。
4.退職のサインを察知したら 人事担当者のためのアクションプラン
新入社員の退職のサインに気付いたら、人事担当者が取るべきアクションは、早期の介入です。早期の介入は、新入社員の不安や問題を解消するための重要な一歩であり、会社として新入社員をサポートする意思を示すことにもなります。そして、職場環境に溶け込めるよう支援し、関係を築くことで、新入社員の早期退職を未然に防ぎます。
新入社員に話しかける
新入社員が退職を考えている可能性がある場合、まずは直接話を聞くことが重要です。社内ですれ違った際に声をかけるなど、接する機会を増やし、話しやすい関係をつくりましょう。そして、必要であれば、個別に話す機会を設定しましょう。オープンな雰囲気の中で、新入社員の抱える仕事や職場環境に対する不満、キャリアに関する不安などを聞いてください。この対話を通じて、新入社員は会社にサポートされているという、安心感を得ることができます。
職場のメンバーに新入社員の最近の様子を聞いてみる
人事担当者は新入社員自身から話を聞くだけでなく、職場の同僚やチームメンバーからも新入社員の最近の様子を聞いてみましょう。同僚からの視点は、新入社員が直面している問題をより広い角度から理解することに役立ちます。ただし、プライバシーに配慮し、個人を尊重する姿勢を忘れないでください。
職場の上司へ気になったことや聞いたことを伝える
新入社員の退職のサインを察知したら、その情報を職場の上司や関連する管理職に共有することが大切です。上司は、新入社員の業務成果を管理する役割があり、日常業務の取り組み方や職場での人間関係に最も影響を与える立場にあります。上司へ情報を共有することで、問題解決に向けた話し合いができ、職場での新入社員に対する具体的なサポートを得ることができます。
5.新入社員の早期退職が会社にもたらすデメリット
新入社員の早期退職は、従業員を失うということだけではなく、会社のさまざまな面に悪影響を及ぼします。
採用と教育の投資が回収できない
新入社員に対する採用プロセスや教育プログラムには、多大なコストと時間がかかります。特に、スキルや知識が必要な職種では、新入社員が独り立ちするまでの期間が長く、投資回収には時間がかかります。早期退職によって初期投資が十分に回収されず、企業の財務状況に悪影響を及ぼすことがあります。
新しい人材の確保にコストがかかる
新入社員の退職によって生じる人員不足を補うためには、再度、採用活動を行う必要があります。これには、求人広告の掲載料、採用プロセスの運営コスト、面接官の時間コストなど、採用に伴う追加コストが発生します。このように新しい人材を確保するためには企業のリソースに負担がかかります。
職場モラールが低下する
新入社員の退職は、職場の雰囲気にも悪影響を及ぼすことがあります。特に新入社員に関わってきた先輩社員は「今までやってきたことは何だったのか」と落胆したり、「自分の接し方が悪かったのでは」と自己嫌悪に陥ったりしがちです。このように新入社員が辞めた職場では、職場全体のモラールが低下し、生産性の低下を引き起こすかもしれません。また、新入社員の退職が多いと、残留する社員にも不安を与え、会社の将来に対する信頼感を損なうことになるでしょう。
企業イメージへ悪影響を及ぼす
現在、一部の企業では人的資本経営に関する情報開示が義務化されています。離職率や定着率は、投資家にとって企業の人的資本への投資姿勢を判断する指標の一つとなりつつあります。開示された離職率が高いと、企業の魅力が低下し、企業のイメージやブランドにも悪影響を及ぼします。そして、外部からのイメージが低下すると、優秀な人材の獲得が難しくなり、長期的な成長に影響を与えかねません。
新入社員の早期退職を防ぐためには、このようなデメリットを十分に認識し、早期退職の原因に対処するための施策を講じることが重要です。
<若手人材を育てる企業の証、ユースエール認定制度>
例えば、厚生労働大臣が認定する“ユースエール企業”の認定制度を受けることは、若手の採用、育成に積極的で雇用管理が優良であるという認知を広めるために有効です。
「ユースエール認定」制度とは、若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業(常時雇用する労働者が300人以下の事業主)を、若者雇用促進法に基づき厚生労働大臣が「ユースエール認定企業」として認定する制度です。
厚生労働省が雇用管理の改善に取り組む事業主を支援するために設けている3つの制度※1 のうちの1つです。
<認定基準の一部>
・直近三事業年度の新卒者などの正社員として就職した人の離職率が20%以下
・前事業年度の正社員の月平均の所定外労働時間が20時間以下かつ、月平均の法廷時間外労働60時間以上の正社員がゼロ
・前事業年度の正社員の有給休暇の年平均の取得日数が年10日以上または、年平均取得率※2 70%以上
※1:ユースエール認定制度(若者の採用・育成)の他、えるぼし認定制度(女性活躍推
進)、くるみん認定制度(子育てサポート)
※2:付与日数に占める取得日数の平均
出典:ユースエール認定制度(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000100266.html
6.新入社員の退職を防ぐための採用から入社までの人事施策
新入社員の早期退職を防ぐためには、採用から入社前までの段階でミスマッチを減らすことが重要です。
採用段階でのミスマッチ防止
新入社員の早期退職の一因として、採用段階でのミスマッチが挙げられます。企業と新入社員の期待とのミスマッチを減らすためには、採用過程で職務内容、給与の仕組み、キャリアパス、企業文化を明確に伝えましょう。候補者の価値観やキャリア目標が企業のそれと合致するかを確認できるようにすることが重要です。また、アルバイトなどでのリアルな仕事体験やインターンシップを提供し、あらかじめ職場環境を体験する機会を増やすことも有効です。
充実したオンボーディングプログラム
新入社員が職場にスムーズに適応し、早く業務に慣れるよう、充実したオンボーディングプログラムを用意することも有効です。その第一歩として、メンター制度を設けることで、新入社員が気軽に先輩社員に相談できる環境を提供しましょう。このように、オンボーディングプログラムで、企業文化の理解、職務の具体的な内容、必要なスキルや知識の習得だけでなく、職場の人間関係やキャリアなど、業務以外のこともフォローしましょう。新入社員の不安を解消し、職場への早期の適応を促進します。
継続的なサポートとフィードバック
新入社員が成長し、長期的に企業に貢献するためには、継続的なサポートと定期的なフィードバックが不可欠です。研修など集まる機会をつくり、新入社員が自己成長と達成を実感できるよう支援することが必要です。小さな成功や挑戦でも新入社員に声を掛け、ポジティブなフィードバックを積極的に行いましょう。そして、できることや強みに焦点を置き、業務に生かせるよう具体的にアドバイスをしましょう。
また、改善が必要な点については、“どのようにすれば改善できるのか”という視点で問い掛けると、新入社員の受け止め方も変わってきます。新入社員が自己成長を実感できると、職場に対するエンゲージメントを高めることができます。
7.新入社員の定着と成長を支援するための人事施策
入社後3年目までの退職防止策として、新入社員が定着し成長できる環境を整備することが重要です。
キャリア支援
キャリア支援によって、新入社員は今の仕事と将来の仕事との関連性を見いだすことができます。具体的には、キャリアデザインのワークショップ開催や個別のキャリアコンサルティングを通じて、新入社員一人一人のキャリア目標の設定をサポートします。
また、多様なキャリアパスを示すことで、企業内に多様な成長機会があることを、理解してもらうことが重要です。そして、定期的なキャリアコンサルティングによって、新入社員が自己実現に向けて着実にステップを踏めるようにすることも、モチベーションの維持につながります。
ワークライフバランスの促進
新入社員の仕事と私生活の充実を促進することも重要です。フレックス制度の導入、リモートワークの推進と環境整備、全社的に年次有給休暇の取得を積極的に促進することなどが効果的です。
私生活の充実が図れると、肉体的にも精神的にもリフレッシュでき、前向きに仕事に取り組むことができます。特に若い世代の社員にとって、柔軟な働き方は魅力的な働き方の一つとされ、企業選びの重要な基準となっています。
また、多様な働き方へのニーズに対応する勤務体系の導入や育児や介護といったライフステージの変化に応じたサポート体制を整えることは、新入社員の辞める理由を解消することにつながります。
社員エンゲージメントサーベイの実施
社員のエンゲージメントレベルを定期的に測定することは、会社の健全性を保つ上で極めて重要です。サーベイの実施と結果のフィードバックを通じて、社員の意見や感じている課題を収集し、その結果を基に職場環境や人事施策の改善を図りましょう。
弊社のエンゲージメント調査(対象:38,000名、期間:2022年4月~2023年3月)の結果、25歳未満の社員がエンゲージメントを感じる要因は「支援関係」「好きな仕事」「対話」でした。「職場で温かく迎えられている」「自分の希望する仕事ができている」という実感がエンゲージメントを高めるポイントです。
サーベイ結果を職場にフィードバックすることで、先輩社員や上司は新入社員との関わり方を意識できます。
エンゲージメントサーベイは、社員が職場に求めるものを理解する貴重な手段です。エンゲージメントは、社員が心から価値を感じ、貢献したいと思える職場づくりに不可欠です。
関連コンテンツ
【速報】38,000名のエンゲージメント調査から見えた実態と、若年層の離職防止につなげる施策とは
ダウンロードはこちらから
社内コミュニケーションの活性化
活発な社内コミュニケーションは、新入社員が職場の一員として早くなじむために必要不可欠です。定期的なチームミーティング、社内イベントの開催、非公式な交流の場を提供することなどを通じて、社員間のコミュニケーションの機会を増やすことが重要です。このようなコミュニケーションの機会はオープンな雰囲気を醸成し、社員間の信頼関係を構築したり、チームワークを強化したりすることにも役立ちます。
8.新入社員の定着率を高めるために管理職が行うべき施策
新入社員の定着率を高めるためには、辞めたいと思う理由に大きく関わる職場環境の改善が不可欠です。管理職は、新入社員が安心して長期的に働き続けたいと思える環境を整えることが重要です。
適切な評価のフィードバック
管理職が新入社員に対して適切な評価のフィードバックをすることは、新入社員の成長と職場への定着を促進します。管理職向けの評価者研修を定期的に実施し、評価の客観性を確保する方法や効果的なフィードバックの方法を学ぶ機会を提供することが重要です。納得感のある評価のフィードバックは、新入社員のモチベーションを高め、自己実現に向けた取り組みを促進します。
▼ハラスメントを防ぐ教育について
関心のある方は、
こちらのDL資料をご覧ください。
職場のメンタルヘルスに対する意識向上
新入社員が心身共に健康でいられるように、職場のメンタルヘルスに対する意識を高めることが必要です。ハラスメントやストレス管理に関する研修を実施し、職場メンバーの理解と意識向上を図りましょう。このような取り組みが、職場でオープンに話し合える雰囲気を醸成し、社員同士が互いにサポートし合える環境をつくることにつながります。そして、社員のメンタルヘルス対策として、カウンセリングサービスの提供など、制度の整備も重要です。
▼ポジティブなフィードバックについて
関心のある方は、
こちらのDL資料をご覧ください。
職場でのポジティブなフィードバック
職場でのポジティブなフィードバックは、新入社員の自信と職場へのエンゲージメントを高めます。また、成功体験を共有するためにミーティングの定期的な開催や、優れた業務の遂行を表彰する制度の導入など、ポジティブなフィードバックを促進する取り組みを実施することが効果的です。このような取り組みにより、新入社員は自己の貢献を認識し、さらなる成長へのモチベーションを得ることができます。
適切な仕事の割り当て
新入社員が持つスキルや能力に応じて適切な業務を割り当てることは、職場の生産性を高めるだけでなく、職場への社員の満足度を向上させます。そのためには、管理職が社員のスキルやキャリア目標を理解し、それに応じた業務を適切に割り当てることが求められます。適切な業務の割り当てを行うことで、新入社員は、自己の能力を発揮し、成長する機会を得られます。
9.まとめ
新入社員の退職は、企業にとって損失ではありますが、個人のキャリアパスにおいては避けがたい選択となることもあります。企業としては、可能な限り退職を避け、退職した社員であっても再び戻ってきたいと思えるような魅力的な職場環境を目指すべきです。本記事では、新入社員が会社を退職したいと思う理由を理解し、それに基づいた人事施策を提案することで、企業が取り組むべき総合的なアプローチを紹介しました。
具体的な施策として、採用段階でのミスマッチを低減すること、オンボーディングプログラムの充実、キャリア支援、ワークライフバランスの促進、社員エンゲージメントの継続的な評価といった点が挙げられます。また、管理職の質を高めること、職場のメンタルヘルスへの配慮、ポジティブなフィードバック機会の増加、適切な仕事のアサインメントによって、職場環境そのものの改善を図ることが重要です。
これらの施策を通じて、新入社員は自身のキャリアパスを明確に描き、職場での自己実現を追求することが可能となります。そして企業は、退職理由に潜む課題に対処し、改善を継続することで、より良い職場環境を構築し、魅力的な企業文化を育むことができるでしょう。このような総合的なアプローチは、単に離職率を低下させるだけでなく、企業の持続可能な成長と発展を支える基盤を築くことにつながります。
レポート作成:株式会社ビジネスコンサルタント 情報提供サイト事務局