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エンゲージメントの向上施策5選!成功事例や効果的な方法を解説

近年、人材の流動化や労働人口の減少で人材の確保が難しくなっています。また、2020年以降、コロナウイルスの感染拡大によってリモートワークが浸透しました。それに伴い従業員間のコミュニケーションが減少し、帰属意識の低下が懸念されています。自社の離職率を抑制し、生産性を高めるためには、従業員の「エンゲージメント」の向上が非常に重要です。
本記事では、企業経営のさらなる成長や従業員のパフォーマンス向上につながる「エンゲージメント」向上施策5選をご紹介します。また、エンゲージメント向上に効果的な方法や成功事例についても解説します。

目次

  1. エンゲージメントとは
    エンゲージメントとは何か
    従業員エンゲージメントと従業員満足度との違い
  2. エンゲージメントが求められる背景
    人材の流動化と定着率向上
    価値観の多様化
    キャリア自律
    人間関係の希薄化
    人的資本経営の実現
  3. エンゲージメント向上のメリット
    企業の成長や利益向上につながる
    顧客満足度が高まる
    離職率の低下につながる
  4. エンゲージメント向上施策5選
    企業理念やビジョンの浸透
    Well-being経営の実現
    自律型のキャリア開発支援
    社内コミュニケーションの活性化
    人事評価制度の明確化
  5. エンゲージメント向上施策の成功事例
    事例1 ビジョンの浸透化で離職ゼロへ(カーディーラー)
    事例2 Well-being独自指標づくり(製造業)
    事例3 キャリア開発のため1on1(自動車部品メーカー)
    事例4 メンター制度確立と支援(小売業)
    事例5 人事諸制度の再構築(サービス業)
  6. エンゲージメント向上を妨げる要因
    施策が自社に合っていない
    個々人の認識の違い
  7. エンゲージメント向上のポイント
    定義の明確化
    現状把握と課題の洗い出し
    施策の決定と実行
    施策の効果検証と改善
  8. エンゲージメント向上に効果的なエンゲージメントサーベイ
    エンゲージメントサーベイ(調査)とは
    エンゲージメントサーベイの効果的な活用方法
  9. 継続的なエンゲージメントの向上に役立つタレントマネジメントシステム
  10. まとめ

 

1.エンゲージメントとは

重要性がますます高まっている「エンゲージメント」とは何なのか、主にビジネスシーンで使われる意味合いについて整理しておきましょう。

エンゲージメントとは何か

「エンゲージメント」とは、直訳すると「契約」や「婚約」という意味があります。ビジネスシーンで使われる人事用語としては「愛社精神」や「愛着心」とも訳され「企業に貢献したい」という従業員の自発的な意欲のことを指します。

弊社では、エンゲージメントが高い状態を「所属する組織や一緒に働く人々に対して愛着心を感じ、貢献意欲を持って仕事に熱中・没頭して取り組んでいる状態」と定義しています(図1)。

エンゲージメントとは何かを表した図
図1 エンゲージメントとは

従業員エンゲージメントと従業員満足度との違い

従業員エンゲージメントと従業員満足度は、しばしば混同されがちですが、実際にはそれぞれ異なる概念です。

従業員満足度は、仕事の内容や役職、給与、福利厚生、職場環境、人間関係等の制度や環境に対する満足度を定量化したものです。従業員が企業に対して持つ一方的な視点を反映します。

一方、従業員エンゲージメントは、物理的な側面(制度や環境等)ではなく、従業員が企業に抱く愛着心や心理的な絆に基づくものです。従業員と企業の双方向の関係性を重視し、企業の理念やビジョンに対する、従業員の共感度合いや貢献意欲を指します。

このように、従業員満足度は主に企業の提供する条件に対する満足度に焦点を当てるのに対し、従業員エンゲージメントは従業員と企業の間の深い結び付きや心理的なつながりに重点を置いています。そのため、従業員エンゲージメントの方が、組織力の強化と維持に効果的であるといえるでしょう。

2.エンゲージメントが求められる背景

エンゲージメントが重要視される主な背景として、以下の5つが挙げられます。

人材の流動化と定着率向上

企業が事業を持続的に成長させるためには、人材の流出(離職)防止が求められます。人材の流出が増えると採用や育成にコストがかかり、事業の持続的成長にブレーキがかかります。特に若手社員や中堅社員が定着するための職場環境や企業の制度等の整備が重要視されています。

価値観の多様化

近年、働き方や仕事に対する価値観が多様化しています。さまざまな価値観を持つ従業員がやりがいを持って働くには、旧態依然なマネジメントの方法では限界があります。従業員各自が目指しているものと企業が目指しているものとの一致点を見いだし、拡大できるようにする必要があります。

キャリア自律

VUCAの時代の中、将来のキャリアに不安を抱えている社員が多いといわれています。多くの従業員が目先の仕事に追われて、将来のキャリアを十分に考えることができず、漠然とした不安を抱えています。また、管理職も同様に、目先の課題を対処することに追われているのが現状です。キャリア自律を促進するためにも上司と部下との対話の機会を増やし、将来のキャリアを描くことが求められます。

人間関係の希薄化

新型コロナウイルス感染症対策がきっかけとなったリモートワークの普及によって、職場の人間関係が希薄化しています。上司や同僚との間に物理的な距離が生じたことで悩みを打ち明けられず、抱え込む人もいます。リモートワークにおいても、普段から気軽に相談できる職場環境やフォロー体制が必要です。

人的資本経営の実現

優秀な人材の獲得や育成のための人的資本経営の確立が求められています。人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営の在り方が求められています。また、人材に関する各種データ(人材育成、エンゲージメント、流動性、ダイバーシティ等)の開示も求められます。

3.エンゲージメント向上のメリット

エンゲージメントを高めることは、企業に多くのメリットをもたらします。ここでは、主な3つのメリットについて解説します。

企業の成長や利益向上につながる

エンゲージメントの高い従業員は、企業に対する貢献意欲が高いため、生産性が向上します。自分の仕事に価値を見いだし、企業の目標達成に貢献しようとするからです。生産性の向上は、最終的に企業の売り上げと利益の増加につながります。

また、エンゲージメントの高い職場環境は、革新的なアイデアや改善提案が生まれやすい土壌をつくります。これは、競争上の優位性を確立し、市場での成功を支える重要な要素です。

アメリカの世論調査やコンサルティングを行っているギャラップ社の調査において、エンゲージメントが高い上位25%の組織と下位25%の組織を比較したところ、前者の方の収益性が23%高いという結果が出ています。営業の生産性においても、前者の方が18%高くなっています(図2)。

エンゲージメント向上の効果と効用の図
図2 エンゲージメント向上の効果と効用

参考:「The Relationship Between Engagement at Work and Organizational Outcomes」
2020 Q12® Meta-Analysis: 10th Edition
https://www.mandalidis.ch/coaching/2021/01/2020-employee-engagement-meta-analysis.pdf

顧客満足度が高まる

従業員のエンゲージメントが高いと、その熱意は顧客サービスにも反映されます。エンゲージメントの高い従業員は、顧客のニーズを理解し、それを超えるサービスを提供しようと努めます。これにより、顧客満足度が高まり、リピート顧客や口コミによる新規顧客の獲得にもつながります。長期的には、これが企業のブランド価値の向上に寄与し、市場でのポジショニングを強化します。

また、前述したギャラップ社の調査においても、エンゲージメントが高い上位組織と下位組織の顧客ロイヤルティーを比較したところ、前者の方が10%高いという結果が出ています(図2)。

離職率の低下につながる

従業員のエンゲージメントを高め、企業の文化や価値観に対して共感を得ることは、離職率の低下に直接的に貢献します。低い離職率は、採用コストやトレーニングコストの削減につながり、組織力が強化されるため、長期的な企業の成長にも不可欠です。

この点も前述したギャラップ社の調査において、エンゲージメントが高い上位組織と下位組織の離職率を比較したところ、前者の方が43%低いという結果が出ています(図2)。

4.エンゲージメント向上施策5選

エンゲージメントを高める取り組みとして、具体的にどのような施策に取り組んだらいいのでしょうか。第2章でご紹介した「エンゲージメントが求められる背景」に沿った、エンゲージメント向上施策5つご紹介します(図3)。

エンゲージメントが求められる背景と取り組み施策の図
図3 エンゲージメントが求められる背景と取り組み施策

企業理念やビジョンの浸透

企業理念やビジョンの浸透は、従業員が自社とのつながりを深める上で非常に重要です。企業理念を日常業務に組み込むことで、従業員は自分の仕事が企業の目標にどのように貢献しているかを理解しやすくなります。そのために、会議や研修を通じて定期的に理念やビジョンを共有し、その理念を具体的に業務プロセスや行動指針に落とし込むことで、従業員の理解や共感を促すことができます。

Well-being経営の実現

従業員の健康と幸福は、エンゲージメント向上のためには欠かせない要素です。肉体的、精神的、そして社会的なWell-beingをサポートすることで、ストレスの軽減、仕事への満足度向上につながります。フレキシブルな労働時間、健康プログラムの提供、職場内の快適な休憩スペースの設置という客観的Well-beingも大切ですが、人生の満足度やポジティブ感情である主観的Well-beingに焦点を当てた取り組みが特に重要です。

関連コンテンツ:Well-being実現のための自組織の独自指標づくり|ウェビナーレポート
https://trend.bcon.jp/well-being-index/

自律型のキャリア開発支援

従業員が自分のキャリアパスを自律して計画し、成長できる環境を提供することが大切です。従業員一人一人の興味や強みを理解し、それに基づいたキャリア開発プログラムやメンタリング、継続的な学習の機会を提供することで、従業員は自分自身のスキルアップとキャリアの進展に対して積極的に取り組むようになります。また、キャリア成長の機会を公平に提供することで、エンゲージメントの向上にもつながります。

関連コンテンツ:キャリア自律を実現する 1on1の実践的アプローチ|ウェビナーレポート
https://trend.bcon.jp/career_1on1/

社内コミュニケーションの活性化

社内コミュニケーションの活性化は、チームワークの強化とエンゲージメントの向上に欠かせません。定期的なミーティング、社内SNSの活用、オープンオフィスアワー等を通じて、上層部と従業員間、異なる部署間のコミュニケーションを促進すること等が有効です。また、メンター制度を導入することで、企業に対する共感と理解を促し、従業員の意欲を高めることができます。このような取り組みによって、従業員同士の理解と信頼が深まります。

人事評価制度の明確化

透明性と公平性を持った人事評価制度は、従業員のエンゲージメントの向上に不可欠です。明確な基準とフィードバックの仕組みを設けることで、従業員は適正に評価されると感じ、さらなる努力の動機づけにつながります。そのため、目標設定や自己評価、上司からの定期的なフィードバック等を含む、綿密な人事評価制度を構築することが求められます。

5.エンゲージメント向上施策の成功事例

ここでは、第4章でご紹介した「エンゲージメントを向上させる施策5選」に沿った5つの事例を具体的にご紹介します(図4)。

エンゲージメントが求められる背景と取り組み施策や事例の図
図4 エンゲージメントが求められる背景と取り組み施策や事例

事例1 ビジョンの浸透化で離職ゼロへ(カーディーラー)

取り組み施策「企業理念やビジョンの浸透」

実施の背景

・拠点ごとに定着してしまった異なる文化や慣習的風土(店長への依存や反依存)が、人材の流動性を妨げていた。
・上司や先輩によって指導内容や方針が異なるため一貫性のないマネジメントが行われていた。
・実績重視の社風のため若手社員(入社後5年以内)の離職率が高かった。
・基本理念やビジョンはあるが、その実現に向けて従業員が具体的に、どのように行動すればよいかイメージがつかめていなかった。

取り組み内容

セルフエスティーム※の考え方を教育によって浸透する

事例1の取り組み内容の図
成果

・トップダウンではなくボトムアップの施策展開が増加
・離職率の低下

◆入社5年目まで27.7%→8.2% ◆サービス部門12.9%→2.7%   
◆事務職22.2%→0% 

※セルフエスティーム:自分自身を誇りに思い、他者からも十分に認められるであろうという自負心や自尊心

事例2 Well-being独自指標づくり(製造業)

取り組み施策「Well-being経営の実現」

実施の背景

・サステイナブル経営を掲げ、事業転換を図っている。
・事業転換に伴い、ミッション、長期ビジョン、価値観(行動指針)にサステイナビリティの要素を入れて大きく改訂した。
・新ミッション、ビジョン、価値観の浸透を図っていくためのアプローチを探していた。
・わが社の事業に携わり働く人々が、社会に対しても関わり「身体的、精神的、そして社会的に完全に良好で全てが満たされた」Well-beingな状況を定義づけて、変革をマネジメントしたい。

取り組み内容

Well-being指標を基にした改善活動

事例2の取り組み内容の図
成果

・わが社にとってのWell-beingの定義づけ
・策定メンバーのエンゲージメント向上、当事者意識の醸成

事例2の成果の図

事例3 キャリア開発のため1on1(自動車部品メーカー)

取り組み施策「自律型のキャリア開発支援」

実施の背景

・従業員の希望や仕事の適性等を踏まえた人材配置ができていなかったため、モチベーション低下が起きていた。
・将来を担うコア人材には、ローテーションを行いたかったが、優秀な人材を各部門で囲い込む傾向があり異動ができなかった。
・人事データを蓄積し、それを活用するタレントマネジメントを行いたい。
・わが社には成長の機会が豊富にあり、キャリア開発を実現できると若手社員が思えるような企業にしたい。

取り組み内容

・キャリア自律に向けた制度とツール、教育を一体で推進

事例3の取り組み内容の図
成果

・上司とメンバーが一緒にキャリアを考えることで、信頼関係を構築
・自社の中での自身のキャリアが明確に

事例4 メンター制度確立と支援(小売業)

取り組み施策「社内コミュニケーションの活性化」

実施の背景

・パート社員2000名のうち、年間で約600名が入れ替わり、採用コスト等が増加していた。
・多くのパート社員が入社2カ月以内に離職しており、店長は常に採用活動をしなければならず、業務を圧迫していた。
・企業としては、地域で働きがいのある企業を目指していたために、企業のブランドイメージはあまり良くなかった。

取り組み内容

メンター制度の導入と運用に関する教育

事例4の取り組み内容の図
成果
事例4の成果の図

事例5 人事諸制度の再構築(サービス業)

取り組み施策「人事評価制度の明確化」

実施の背景

・新中期経営計画で、これまでの安定的な収益確保から積極的な投資を伴う収益倍増の方針が出された。
・方針を実現するための社員の労務構成は全従業員80名中、50歳代の従業員が大半を占め、20代は0名、30代は数名と、今後5年から10年の自社を支える人材が圧倒的に不足していた。
・収益倍増のため新しくDXやサステイナブル施策に乗り出す必要があったが、前例踏襲主義の文化が根強くあり実効性に乏しかった。

取り組み内容
事例5の取り組み内容の図
成果

・チャレンジを促し、報いる評価制度に一新
・評価運用促進による、上司部下のコミュニケーションが強化

6.エンゲージメント向上を妨げる要因

前述したようなエンゲージメント向上施策を実施しても、期待された成果が得られないことがあります。ここでは、エンゲージメント向上を妨げる要因について2つを解説します。

施策が自社に合っていない

企業によって風土、規模、業種、状況等が異なるため、他の企業で成功したエンゲージメント向上施策が必ずしも自社に合うとは限りません。施策を選定する際には、例えば、以下の点を考慮することが大切です。

企業の風土…企業の価値観や信条を理解し、それに沿った施策を選べているか

従業員のニーズ…従業員が何を求めているかを把握し、そのニーズに応える施策を選定できているか。

企業の目標…企業の長期的な目標と整合性が取れている施策を選べているか。

個々人の認識の違い

企業内の個々人の認識が異なっているとエンゲージメント向上施策の効果が得られにくくなります。施策がうまく機能しない場合には、次のような要因が挙げられます。

施策の目的の理解不足…施策の背景や目的が従業員に十分に伝わっていない場合、その重要性を理解できず、非協力的な行動になりやすい。

期待の違い…施策に対し、企業が期待する成果と従業員が期待する成果が異なる場合、施策に対するモチベーションの低下を招くことがある。

コミュニケーション不足…施策の進捗や成果に関する情報が従業員に適切に伝わっていない場合、関心を失ったり、不信感を持ったりする原因になる。

7.エンゲージメント向上のポイント

エンゲージメント向上施策に取り組むにあたって、その施策の効果性をより高いものにするためには、どのようなポイントがあるのでしょうか。そのポイントについて、ステップごとに解説します。

定義の明確化

一般的に、エンゲージメントとは、従業員が自分の仕事に対して情熱を持ち、企業の目標達成に積極的に貢献しようとする姿勢のことを指します。ここでは、自社にとってのエンゲージメントを明確に定義することで、目指すべき状態をできるだけ具体的に理解し、企業内で共有することが重要です。定義を明確にすることで、従業員一人一人が自分の役割をよりよく理解し、企業全体の目標に向かって動くことができるからです。

現状把握と課題の洗い出し

現状のエンゲージメントレベルを把握するためには、従業員エンゲージメントサーベイやインタビュー等を活用し、従業員の声を聞くことが重要です。現状の把握を通じて、エンゲージメントが低い理由や従業員が直面している課題を明らかにします。これらは、仕事の満足度、キャリア成長の機会、職場環境、上司との関係等、多岐にわたる要因が影響しています。課題を洗い出し、要因分析を行うことで、打ち手となる施策を効果的なものにすることができます。

施策の決定と実行

課題を解決するための施策を計画し、実行します。施策は具体的で実行可能なものにする必要があり、従業員の意見を反映させることが重要です。また、 施策を実行に移したとしても、すぐに従業員のエンゲージメントが向上するとは限りません。

多くの場合、その施策が企業内に定着するまでの間、長期的かつ継続的に実行することが求められます。そのため、短期的な結果だけで判断するのではなく、短期的なものから長期的なものまで施策を決定し実行していく必要があります。

施策の効果検証と改善

施策を実行した後は、その効果を定期的に検証し、必要に応じて改善を行います。効果検証のためには、KPI(重要業績評価指標)を設定し、指標を通じて施策の成果を測定します。効果が不十分であれば、施策の見直しや新たなアプローチ方法への試みが必要になります。このプロセスは継続的に行うことが重要であり、企業と従業員の成長に合わせて進化していく必要があります。

8.エンゲージメント向上に効果的なエンゲージメントサーベイ

第6章でも述べたように、現状把握と課題の洗い出しをするためにはエンゲージメントサーベイの活用がとても効果的です。ここでは、エンゲージメントサーベイを最大限に活用するための方法をご紹介します。

エンゲージメントサーベイ(調査)とは

エンゲージメントサーベイとは、従業員の仕事への熱意や企業への忠誠心、職場での満足度等、従業員のエンゲージメントレベルを測定するために行われる調査です。このサーベイにより、職場環境の改善点や従業員のニーズを理解するための貴重な情報を得ることができるため、より良い職場環境をつくり、従業員の生産性向上に役立てることができます。

エンゲージメントサーベイの効果的な活用方法

エンゲージメントサーベイの結果を最大限に活用するためには、以下の点に注意することが重要です。

全社的な取り組み…サーベイ結果を基にした改善策は、企業全体で共有し、全社的な取り組みとして実施する。

アクションプランの作成…サーベイを行うだけでなく、その結果を受け止め具体的なアクションプランを作成し、実行に移す。

継続的なコミュニケーション…サーベイの実施だけでなく、その後のプロセスや進捗状況、取り組みの成果を従業員と共有する。

繰り返しの実施…1度きりのサーベイではなく、定期的にサーベイを実施し、企業内のエンゲージメントの動向を追跡し、改善策の効果を評価する。また、そのサーベイ結果を基に、アクションプランを見直し、実行に移す。

このように、エンゲージメントサーベイは、従業員と企業の両方にとって有効なツールです。サーベイ結果を適切に活用し、継続的な改善につなげること、また、サーベイ結果を基に、職場で対話を行うことで、より生産的で満足度の高い職場環境を実現することができます。

9.継続的なエンゲージメントの向上に役立つタレントマネジメントシステム

タレントマネジメントシステムは、継続的なエンゲージメントの向上に役立ちます。パフォーマンス管理、学習と開発、キャリアの進展、フィードバックと承認、社内コミュニケーションの促進等、エンゲージメント向上に役立つ、以下のような機能を提供しています。

パフォーマンス管理…目標設定、フィードバックの提供、パフォーマンスのレビューを簡素化することができます。そのため、従業員と管理者が一貫したコミュニケーションを取ることができ、明確な目標に向かって進むことを可能にします。また、従業員は自分の仕事が企業の成功にどのように貢献しているかを理解することで、エンゲージメントを高めることができます。

学習と開発…従業員が自分のスキルを向上させ、キャリアの進展を遂げるためには、継続的な学習と開発が必要です。タレントマネジメントシステムは、パーソナライズされた学習プランの作成やオンラインコースへのアクセス、スキルの追跡を支援し、従業員が自分自身を成長させる機会をつくることができます。

キャリアの進展…従業員が企業内でのキャリアパスを明確に理解し、それに向かって進むことができるようにすることは、エンゲージメントを高める上で重要です。タレントマネジメントシステムは、キャリアの進展の機会をより効果的に明示でき、従業員が目指すべき目標を設定する上で、一元管理ができる便利な場として活用することができます。

フィードバックと承認…定期的なフィードバックと承認は、従業員のエンゲージメントを高める上で不可欠です。システムを通じて、管理者は従業員の成果を迅速に認識し、適切なフィードバックを提供することができます。これにより、従業員は自分の貢献が価値を認められていると感じ、満足感とエンゲージメントが高まります。

社内コミュニケーションの促進…コミュニケーションの活性化は、エンゲージメントの向上に不可欠です。タレントマネジメントシステムが情報の共有を容易にすることで、チーム間のコラボレーションの促進や、企業全体のコミュニケーションの強化をすることができます。

このように、タレントマネジメントシステムを効果的に活用することで、継続的に従業員のエンゲージメントを高めることが可能になります。

10.まとめ

本レポートでは、エンゲージメント向上施策や効果的な方法等について解説しました。エンゲージメント向上は、人材の流動化や労働人口減少、リモートワークの普及によるコミュニケーションの減少といった現代の課題に対応するために非常に重要です。そして、企業の生産性向上や人材の定着率アップ等の継続的な企業成長にも効果的です。
エンゲージメント向上施策はさまざまありますが、ぜひ自社に合った施策に取り組み、これらを通じて従業員と企業の双方向の関係性を強化することで、エンゲージメントの向上を図ることをお勧めします。

また、エンゲージメントサーベイやタレントマネジメントシステムを効果的に活用することで、継続的なエンゲージメントの向上や企業成長を実現できると考えています。 本レポートが少しでも皆さまのお役に立てますと幸いです。

レポート作成:㈱ビジネスコンサルタント 情報サイト事務局

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