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2024年度アンケートから考察|新入社員の特徴と育成、OJTのヒントをご紹介

2024年度アンケートから考察|新入社員の特徴と育成、OJTのヒントをご紹介

新入社員は企業の未来を支える大切な存在です。彼らが早期に職場環境に適応し、チームの一員として活躍するためには、今の新入社員の特徴を理解し、職場での関わり方を工夫することが重要です。特徴を把握することで、効果的な育成プログラムを作成でき、早期育成につなげることができます。

本記事では、新入社員アンケートの結果を基に、今の新入社員の傾向特徴をご紹介します。また、その特徴に合わせた効果的なOJT(On-the-Job Training)や育成のポイント導入研修のカリキュラム、そして効果的な学習アプローチについてもご案内します。

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1.今の新入社員が置かれている環境と傾向

外部環境の変化や社会の進化に伴って、今の新入社員は、以前の世代とは異なる多くの特徴を持っています。ここでは、今の新入社員に影響を与えている外部環境の変化新入社員の特徴について見ていきます。

外部環境の変化と新入社員

近年の外部環境の変化は、新入社員の価値観や考え方に大きな影響を与えています。例えば、テクノロジーの進化やグローバル化の進展、そして新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)などが挙げられます。

テクノロジーの進化

今の新入社員は、テクノロジーの進化により幼少期からデジタル機器やインターネットに親しんで育ってきたため、デジタルネーティブ世代と呼ばれます。彼らはデジタルツールの使用に非常に精通しており、仕事においてもこれらのツールを効果的に活用することができます。

リモートワークの普及

新型コロナウイルスのパンデミックなどの影響で、リモートワークの普及が加速しました。今の新入社員は、学校でもリモート授業を経験しているため、柔軟な働き方にも適応しやすいという特徴があります。

グローバル化の進展

グローバル化の進展により、今の新入社員は国際的な視野を持ち、多様な文化や価値観に対する理解が深いのも特徴です。そのため、多様なバックグラウンドを持つ同僚とのコミュニケーションや協力をスムーズに行う能力も持ち合わせています。

新入社員の離職率は3年以内で30%

新入社員の離職は、企業にとって重要な課題の一つです。2023年10月に厚生労働省が「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)」を公表しています。特に入社から3年以内の離職率(早期離職率)は30%と依然として高く、多くの企業がその対策に苦慮しているのが伺えます(図1)。

新規学卒者就職率と就職後3年以内離職率(大卒)の図
図1 新規学卒者就職率と就職後3年以内離職率(大卒)
出典:新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/11805001/001158687.pdf

離職の主な原因としては、職場環境や人間関係の問題、キャリアパスの不透明さなどが挙げられます。

この離職率の高さは、企業にとって大きなコストとなるだけでなく、企業全体の士気にも影響を与えるため、対策が求められます。新入社員が長く働き続けるためには、入社前のミスマッチを防ぐための採用プロセスの見直しや、入社後のフォロー体制の充実が不可欠です。

関連コンテンツ:新入社員の辞めたい理由から考える 退職防止につながる人事施策のヒントhttps://trend.bcon.jp/column-shinjin-taishoku/

2.新入社員アンケートの結果から見える特徴

ここでは、2024年度に入社した新入社員6,429名(298組織)を対象に実施したアンケート結果を基に、新入社員の特徴を見ていきます。

2024年度新入社員アンケートの結果

弊社は、2011年から新入社員アンケートを実施しており、2024年度で14年連続となりました。この調査の目的は、新入社員の能力や自己内面の認識傾向を明らかにすることです。この調査が職場のOJTに役立ち、新入社員の方々の成長につながればと考え実施しています。

調査概要

・調査期間:2024年3月~2024年6月
・調査方法:オンラインおよび紙面(選択式回答)
・調査対象:弊社および弊社グループ会社が実施した新入社員研修の受講者、アンケートの実施のみを希望した組織の新入社員
・回答者数:6,429名(298組織)

2024年度アンケート調査結果の特徴

1.働く上で最も重視していることは「社会や人から感謝されること」と思っている

2.働く上で最も不安に感じていることは「上司や先輩とうまくやっていけるか」と感じている

3.「計画力」「実行力」「主体性」があると感じているが「働き掛け力」「発信力」苦手意識がある

4.セルフエスティーム(自己肯定感)※1の「自己重要感」※2「自己好感」※3について、肯定的な認識増加している
※1セルフエスティーム(自己肯定感):自分自身に対してポジティブで好意的である感情のこと
※2自己重要感:自分のことをかけがえのない大切な存在だと思うこと
※3自己好感:自分のことを好ましい良い人間だと思うこと

5.回答者の半数以上「うまくいっているときでも、起こるかもしれないリスクに備えている」と思っている

6.回答者の半数以上「ちょっとした失敗があると、ほかのことでも失敗するのではないか」と感じている

出典:2024年度新入社員アンケート調査結果
https://www.bcon.jp/news/2024_newcomer_report/

アンケート結果から見える新入社員の特徴

本アンケート結果を見てみると、自己成長実感自己肯定感については肯定的な反応を示しているものの、集団の中での人間関係(上司や先輩)や周囲に働き掛けて行動する力「働き掛け力」に否定的な反応があり、苦手意識があることがわかります。また、チーム(集団)の中で、自分の意見を伝えることやストレスを感じる状況にも苦手意識がある人が多い傾向です(図2)。

2024年度 新入社員アンケート結果から読み解く新入社員の特徴の図
図2 2024年度 新入社員アンケート結果から読み解く新入社員の特徴

3.新入社員育成の目的

今の新入社員を育てるには、彼らの特徴を理解した上で進めることが効果的です。では、その育成にはどんな目的があるのでしょうか。主に4つの目的があります。

社会人としてのプロ意識の形成

新入社員育成の第一の目的は、社会人としてのプロ意識を形成することです。学生生活とは異なり、社会人としての責任や役割を自覚し、企業の一員として行動することが求められます。これには、時間管理や自己管理の能力を身に付けること、仕事に対する姿勢や倫理観を養うことが含まれます。

ビジネスマナーの習得

ビジネスマナーとは、職場での礼儀作法や基本的なルールを指し、これを身に付けることで、職場での円滑なコミュニケーションが可能になります。具体的には、あいさつの仕方や敬語の使い方、メールや電話の対応、服装のマナーなどです。

自社理解

自社の歴史やビジョン、ミッション、価値観を理解することで、自分がどのような企業に所属しているのかを知ることができます。また、自分の仕事がどのように企業全体の目標につながっているかを把握でき、仕事の意義を感じ、モチベーションが高まります。これにより、企業への愛着が深まり、将来を見据えた成長が期待できます。

業務理解

新入社員が具体的な業務内容を理解することは、即戦力として活躍するためにとても大切です。具体的には、自分が担当する業務の内容や流れ、使用するツールやシステムの理解を深めることです。その結果として、効果的に業務を進め、成果を上げることができるようになります。さらに、OJT(On-the-Job Training)や定期的な実務研修を通じて実践的な経験を積むことで、知識としての理解だけでなく実践的なスキルも身に付けられます。

4.新入社員の育成前に押さえておくべきこと

効果的な育成を行うためには、各担当者がそれぞれの役割を十分に理解し、準備を整える必要があります。ここでは、人事担当者教育担当者(OJTリーダー)、そして新入社員自身が事前に押さえておくべきポイントについて説明します。

人事担当者が押さえておくべきこと

新入社員の育成において、人事担当者が押さえておくべきポイントは多岐にわたりますが、ここでは、特に重要な2つをご紹介します。

  • 新入社員の特徴をつかむ
    まず、新入社員がどのような外部環境の中で育ち、どのような考えを持つ人が多いのかなど、特徴をつかみます。その上で育成カリキュラムや体制づくりを検討する必要があります。
  • ・育成ストーリーを持つ
    具体的な育成計画を立てる際には「育成ストーリーを持つ」ことも重要です。新入社員を社会人として育成するためには、導入研修だけでは不十分です。職場での関わりやフォローアップ研修、LMSやeラーニングなど多様な手法を組み合わせ、計画的に進めていくことが効果的です。さらに、配属先の上司や教育担当者(OJTリーダー)、人事担当者が定期的に状況を確認しながら計画を調整していくことも欠かせません。

関連コンテンツ:新入社員研修、新人研修の担当者必見|Z世代に合わせたカリキュラムと内容設計
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教育担当者(OJTリーダー)が押さえておくべきこと

教育担当者、特にOJTリーダーは、業務を通じて新入社員のマインドセットやスキル習得を支援します。新入社員教育を効果的に進めるためには、いくつかの重要なポイントがあります。

  • 仕事の意味や意義を伝える
    新入社員に、自身が企業の目標や社会貢献にどのように関与しているかを伝えることで、モチベーションを高めることができます。
  • ・適切なフィードバックを行う
    行動の振り返りや学びを深めるためのフィードバックを適切に行うことで、新入社員の成長をサポートできます。
  • ・教育担当者が率先垂範を行う
    プロフェッショナルな姿勢を自ら示すことで、新入社員は安心して成長できます。模範となる行動を見せることで、理想的な働き方を自然に学んでもらえます。
  • ・心理的安全性の高い職場づくり
    失敗を恐れず意見を述べられる環境を整えることで、安心して発言できます。自由に意見交換できる雰囲気は、チーム全体の活力にもつながります。

教育担当者はこれらの点を押さえ、新入社員が安心して学び、成長できる環境を提供することが求められます。これにより、新入社員は自信を持って業務に取り組むことができ、企業の一員として早期に活躍できるようになります。

関連コンテンツ:新人教育の担当者必見|新入社員に必要な5つの能力、教育のステップ
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新入社員が押さえておくべきこと

新入社員自身も、押さえておくべきことは多岐にわたりますが、特に大切な3つをご紹介します。

  • 前向きな姿勢と学習意欲
    新しい環境に慣れるまでには時間がかかるかもしれませんが、前向きに取り組むことで早期に適応することができます。分からないことや不安なことは積極的に質問し、学ぶ姿勢を持ち続けることが大切です。
  • ・自己管理能力
    時間管理やタスクの優先順位付けといった自己管理のスキルを高める必要があります。これにより、効率的に業務を遂行し、周囲からの信頼を得ることができます。
  • ・チームワーク
    職場では、他の社員との協力が欠かせません。チームの一員として、協力し合いながら業務を進める姿勢を持つことが求められます。他の社員とのコミュニケーションを大切にし、信頼関係を築くことが重要です。

新入社員を育成する上で重要な5つの心構え新入社員が早期に職場になじみ、チームメンバーとして役割を発揮するためには、本人の努力とともに、周囲のサポートが不可欠です。そこで重要なのが、新入社員を教育する育成担当者の心構えです。心構えとは、特定の状況や役割に対して持つ精神的な準備や態度のことを指します。育成担当者は、新入社員が直面するであろう課題を想定し、適切にサポートするために心構えが必要です。では、新入社員の育成担当者にはどのような心構えが必要でしょうか。この記事では、新入社員を教育する上で大切な心構えを中心にご紹介します。...

新入社員の育成は、企業全体の成長と繁栄につながります。人事担当者や教育担当者、新入社員がそれぞれの役割を理解し、連携して取り組むことで、効果的な育成が実現します。

5.新入社員研修で取り組むべきカリキュラム

新入社員研修を計画する際、目的に応じてカリキュラムを選び、組み合わせていきます。カリキュラムは、大きく「基本となるカリキュラム」と「職種別のカリキュラム」に分けられます。

基本となるカリキュラム

基本となるカリキュラムは、新入社員が社会人として活躍するための基礎的な能力やスキルを学ぶものです。ここでは、主なカリキュラムを5つご紹介します。

企業理解や事業理解

企業の一員になる上で、企業理念や経営方針を理解することは、とても重要です。研修で、企業の理念、事業目的、価値観を知ることで、自分の役割を認識し、モチベーションを高めることができます。経営幹部や各部門の社員から直接話を聞くことで、企業の存在意義や働く意義を深く理解し、既存社員と同じ視点で仕事に取り組むことができます。

コンプライアンス

法令順守や企業倫理を守ることは、社会人として欠かせません。研修では、情報の取り扱いなどの情報セキュリティーや社内規定について学び、責任ある行動を促します。これにより、SNSの不適切利用や情報漏えいのリスクを減らすことができます。

社会人としてのマインドセットとビジネスマナー

学生から社会人への意識転換を促し、企業全体の視点から貢献できる人材を育てます。謙虚な態度や顧客志向を持つことにより、多面的な視点を学びます。また、ビジネスマナーは、円滑な仕事の遂行に不可欠なスキルです。

研修では身だしなみ、あいさつ、立ち居振る舞い、名刺交換、電話応対、言葉遣い、ビジネス文書の作成などを学びます。これらのスキルを身に付けることは良好な人間関係を築くだけでなく、企業の信用を維持することにもつながります。

コミュニケーション力

仕事を円滑に進めるためには、効果的なコミュニケーション力が必要です。相手の意図を正しく理解し、分かりやすく相手に伝える力が求められます。新入社員にとっては、上司や顧客とのやりとりが初めての経験となる人も多く存在します。そのため、研修では「報告・連絡・相談(報連相)」の方法を学び、実践できる場を提供することが大切です。

座学だけでなく、ロールプレーイングやグループワークのような実践的な学習を通じて、実際の職場で上司や先輩に業務状況を適切に共有できるようになります。コミュニケーションスキルを習得することで、業務上のトラブルに早期に気付き、未然に防ぐことにもつながります。

論理的な思考

論理的思考は、「報告・連絡・相談(報連相)」や顧客対応の際に、物事の本質や課題を分かりやすく伝えるために必要です。新入社員が論理的に考える力を身に付ければ、判断力も向上し、説得力のあるコミュニケーションが可能になります。

研修では、座学に加え、ロールプレーイングやグループワークが効果的です。一度の研修での習得は難しいため、日常業務や職場での関わりの中で習得できるような育成計画を立てることが必要です。

職種別のカリキュラム

新入社員研修では、職種ごとに必要な専門知識やスキルを習得するカリキュラムも必要です。例えば、営業職なら顧客対応やセールステクニック、技術職なら専門技術やプロジェクト管理など、実践的な内容を取り入れることで即戦力が身に付きます。これにより、新入社員は自信を持って業務に取り組めるため、業務の効率化や成果の向上につながります。

6.今の新入社員に効果的な4つの学習アプローチ

第2章でもご紹介したように、Z世代と呼ばれる今の新入社員は、集団の中での人間関係(上司や先輩)への不安や、働き掛ける力葛藤回避ストレス対処に苦手意識がある人が多い傾向です。その特性に対応するため、弊社では、以下の「4つの学習アプローチ」を用いて新入社員研修プログラムを構成することをお勧めしています(図3)。

4つの学習アプローチの図
図3 4つの学習アプローチ

自主管理運営による学習

自主管理運営」とは、講師や事務局主導でなく、研修受講者自らが学習環境の準備と運営を行う方法です。受け身になりがちな姿勢を改善し、主体性を育むために考案した、弊社独自の学習方法です。学習環境を受講者自ら整えるというミッションと受講者が役割を持つことで、目的達成のために主体的に取り組む姿勢を身に付け、責任感や規範意識を高めます。

シミュレーション学習

シミュレーション学習」とは、具体的なビジネスシーンを想定して役割を演じる中で学習する方法です。実際のビジネスシーンを想定し、役割を演じることで、仕事の背景や目的、意味を理解し、相手の立場に立って行動する姿勢を身に付けます。自分の仕事が「何に貢献できているか」を実感できる学習設計です。

相互評価による学習

相互評価による学習」では、一日の最後に「相互評価と振り返り」を行うことで学びを促進します。 受講者同士で評価し合うことで、自分のことを他者がどのように見ているかを理解し、自己認識を高めることができます。また、研修期間中、毎日相互評価を行うことで、社会人として「常に評価されている」という意識を持つことができます。

現場に即した学習ツール

今の時代の価値観と学びの環境に適応した学習ツールを活用します。例えば、テキストの表現や内容を、時代変化や多様な価値観を踏まえてアップデートするとともに、読むだけで分かるように構成しています。

eラーニングでは、マルチデバイスに対応した専用ページを用意しています。そのため、デジタルネーティブと呼ばれる今の新入社員にとって親しみやすい学習形態を提供することができます。業務に関する学習や振り返りの投稿、プレゼンテーション練習などを、いつでもどこでも行うことができ、とても効果的です。

7.まとめ

本記事では、新入社員アンケートの結果を基に、今の新入社員の傾向や特徴をご紹介するとともに、効果的なOJT育成のポイント、導入研修のカリキュラム効果的な学習アプローチについて解説しました。今の新入社員は、パンデミックの影響で人との関わりが限定されたり、授業がリモート中心になったりするなど、社内の上司や先輩との関わりとは異なる学生時代を過ごしてきた人が多くいます。今の新入社員の特徴を押さえた上で育成プログラムを設計することをご推奨します。「4つの学習アプローチ」も今の新入社員への調査をもとにデザインしていますので、ご興味ございましたらお気軽にお問い合わせください。本記事が少しでも皆さまのお役に立てますと幸いです。

記事作成:㈱ビジネスコンサルタント 情報サイト事務局

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