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マネジメント能力とは?マネージャー必須のスキルを高める方法

マネジメント能力とは?マネージャー に必須のスキルを高める方法

マネジメント能力とは、組織を効率的に運営し、チームのパフォーマンスを最大化する能力のことです。優れたマネジメント能力を持つマネージャーは、チームのパフォーマンスを高め、組織の成功に寄与します。本記事では、マネージャーに求められる役割、マネジメント能力が高い人の特徴、必要なスキルと向上方法までを詳しく解説します。

1.マネジメント能力とは

マネジメント能力とは、組織やチームを効果的に運営し、目標を達成するためのスキルや知識のことを指します。リーダーシップと混同されがちですが意味が異なり、マネジメントは人と仕事、そして変化を管理することです。

マネジメントとは

まずは、マネジメントの定義から解説します。「マネジメント(management)」は、直訳すると経営や管理などを意味します。多くの定義がある言葉ですが、参考までいくつかをご紹介します。

P.F.ドラッカーの定義

マネジメントの父とも称されるP.F.ドラッカーは、マネジメントを

組織に成果を上げさせるための道具・機能・機関

と定義しました。彼は、マネジメントが個人の能力を最大限に引き出し、組織全体の生産性を向上させるための重要な役割を果たすと主張しました。
※参照:P.F.ドラッカー『マネジメント』(1974年)ダイヤモンド社

H.ミンツバーグの定義

ドラッカーと並び称されるカナダのマギル大学の経営学者であるH.ミンツバーグの定義もご紹介します。ミンツバーグはマネジメントを

「決して解決しないパラドックスと矛盾とミステリーに向き合う仕事」
であり
「サイエンス(分析)」「アート(直観)」「クラフト(経験)」の三つの要素をバランスよく実践すること

が重要としています。
※参照:H.ミンツバーグ『マネジャーの実像』(2011年)日経BP

リーダーシップとの違い

マネジメントとリーダーシップは似て非なるものです。弊社ではリーダーシップは「与えられた状況の下で、特定目標や課題の達成に向かって、個人または集団の活動に影響を与えるパワー(力)の行使のプロセス」と考えています。

一方、マネジメントは、先の定義から日常業務の管理と効果的な運営に重点を置きます。つまり、リーダーシップが人々を動機づける影響力であるのに対し、マネジメントは具体的な行動に落とし込むためのプロセスを指します。

2.マネージャーに求められる仕事の役割

マネージャーとは、組織が円滑に仕事を進められるように組織やチームのマネジメントを担う立場のことです。まず、マネージャーの役割について確認しましょう。マネージャーの役割は、大きく二つに分類されます(図1)。

マネジメントの2大機能を説明した図
図1.マネジメントの2大機能

一つは「戦略的機能」で、「将来に備え新しいことに取り組む」ことです。何に取り組んで、何に取り組まないかを決めることとも言えます。もう一つは「業務的機能」で「今の仕事をうまく機能させる、非生産的な業務を見直す」ことです。業務的機能には、チーム全体の仕事そのものの進捗管理と、労務や育成などの部下の管理が含まれます。

将来に備え新しいことに取り組む役割

組織の将来を見据え、業務を行う上で必要となる資源を適切に配分します。具体的には、市場動向を分析して新規分野へ事業を展開したり、将来の需要を予測して新製品の開発プロジェクトを立ち上げたりします。新しいアイデアや技術を導入し、組織の成長と発展を支えることを目指します。

現状活動を見直し、転換する

現在の活動やプロセスを定期的に評価し、必要に応じて新しい手法や方向に転換します。例えば、競争力強化のために、ビジネスモデルを見直す、デジタル化推進を決定するといったことが挙げられます。活動の見直しは、組織が変化する環境に迅速に対応することを可能にします。

新規分野へ展開する

新しい市場や事業領域への進出は、組織の成長を促進するために重要です。そのためには、ターゲット市場の徹底的な調査に基づく戦略の策定と、計画的な実行が求められます。

構造化し、経営資源を配分する

新しいプロジェクトを効率的に進めるために、構造化を行います。これにより、プロジェクトのフェーズや役割、課題に優先順位を付けることができます。プロジェクトの進行を円滑にし、資源の最適な配分を可能にします。社内外の関係者への説明や調整も必要になるでしょう。

今の仕事をうまく機能させる役割

マネージャーは、メンバーの仕事の進捗を確認したり、必要なサポートをしたりすることで、業務が滞りなく進むように調整します。同時にチーム内の安全衛生の確保や改善、労務管理、人材育成も必要です。現状の業務を効果的に運営し、目標達成に向けてチームのパフォーマンスを最大化することを目指します。

仕事を管理、改善する

定期的に業務フローを分析し、業務プロセスのボトルネックとなっている部分を特定して改善策を講じます。定期的な見直しや継続的な改善、リソースの適切な配分を行うことで、全体の業務効率を向上させます。そして、問題が発生した場合には迅速に対応します。

部下を指導し、関係を改善する

定期的な一対一のミーティングを実施し、部下のキャリア目標や現在の課題について話し合い、適切な助言と指摘を行います。定期的なコミュニケーションを通じて、部下の成長を支援し、良好な関係を築きます。また、職場内でミーティングを実施するなど、他メンバーとのコミュニケーションを促進し、チームの一体感を強化します。

非生産的な業務を見直す

非効率な業務や不要なプロセスを見直し、重複しているタスクや非生産的な業務を必要に応じてやめる判断をします。リソースをより重要で効果的な活動に再配分することは、全体のパフォーマンスを向上させ、組織の無駄を削減するために不可欠です。

3.マネジメントに必要なスキル

マネジメント能力を高めるためには、特定のスキルが重要です。ここでは、カッツモデルを基に、マネジメントに必要な三つのスキルをご紹介します。

カッツモデルは、当時ハーバード大学の経営学の教授であったロバート・L・カッツが1955年に自身の論文「効果的経営管理者の能力」(Katz, L. 1955 『Skills of an Effective Administrator』 Harvard Business Review, 33, 33-42.)にて提唱したものです。

カッツモデルにより、マネジメントレベルにおいてマネージャーに求められるスキルの全体像が理解できます。マネジメントに必要なスキルを「テクニカルスキル:実技的能力」「ヒューマンスキル:対人関係能力」「コンセプチュアルスキル:概念的思考能力」の三つに分類しています(図2)。

トップからロワーに求められるスキルを表したカッツモデルの図
図2.カッツモデル

このモデルでは、マネジメントレベルが高くなるにつれてマネジメントの範囲は広がり、求められるスキルの割合も異なることを示しています。図2のように、マネジメントのレベルが高くなるにつれ、具体的な実技的能力だけではなく、対人関係能力や、組織全体のビジョンを描く、概念的思考能力の重要性が高まります。

テクニカルスキル

テクニカルスキルは、特定の業務や専門分野に関する知識と能力を指します。例えば、IT分野のマネージャーであれば、プログラミングやネットワーク管理の技術が含まれます。専門的なスキルは、具体的な問題を解決し、日常業務を効率的に遂行するために必要です。

優れたテクニカルスキルを持つことで、チームのメンバーに対して具体的な指導を行うことができます。さらに、テクニカルスキルは新しい技術や手法を導入する際にも重要です。市場や業界の変化に対応し、最新の技術を適切に活用するためには、特定業務や専門分野の知見による判断が求められます。また、現場業務を遂行し、求められる成果を出すための基盤となるスキルです。

ヒューマンスキル

ヒューマンスキルは、人間関係を円滑にするためのスキルです。コミュニケーション能力やリーダーシップ、チームワークスキル、コーチングスキル、人材育成力などが含まれます。ヒューマンスキルが高いマネージャーは、部下との信頼関係を築き、モチベーションの向上を図り、チームの一体感を高めることができます。これにより、職場の雰囲気が良くなり、全員が目標に向かって協働する環境が整います。

さらに、ヒューマンスキルは、対人関係のトラブルを未然に防ぐだけでなく、問題が発生した際にもオープンなやり取りができ、迅速に問題に対応できます。優れたヒューマンスキルのあるマネージャーは、組織の人材を最大限に活用し、チーム全体のパフォーマンスを向上させます。

コンセプチュアルスキル

コンセプチュアルスキルは、全体像を把握し、抽象的な概念を理解する能力です。コンセプチュアルスキルが高いマネージャーは、長期的な視点で組織の方向性を定め、戦略を策定し、目標を設定します。そして、複雑な問題を整理し、意思決定を行います。

具体的には、市場のトレンドを予測し、将来のビジネスチャンスを見極めることができるスキルです。このスキルは、組織全体のビジョンを描き、部門間の調整を行う際にも重要です。複雑な情報を簡潔にまとめ、チーム全体に分かりやすく伝えることができます。結果として、組織全体の戦略が明確になり、全員が同じ目標を共有することが可能になります。

4.マネジメント能力が高い人の特徴

マネジメント能力が高い人には、共通して以下の特徴が見られます。

組織全体を見渡す

マネジメント能力が高い人は、組織全体の状況を俯瞰し、全体の連携や相互作用を理解しいます。そのため、部分的な問題や課題だけでなく、全体のバランスと効率性を考慮しながら意思決定を行うことができます。

例えば、部門ごとのパフォーマンスを評価する際にも、全体の目標達成にどのように寄与しているかを見ます。このような広い視野を持つことで、組織全体の調和を図り、各部門が連携して最大の成果を上げることが可能となります。さらに、全体を見渡す力は、潜在的な問題を早期に発見し、適切な対策を講じる上でも重要です。

リサーチに基づいて行動する

意思決定を行う際には、必ずリサーチに基づいた根拠を持つことが求められます。マネジメント能力が高い人は、現状を正確に把握し、問題の根元原因を徹底的にリサーチします。その上で、得られたデータや情報を基に最適な解決策を導き出します。

市場調査や競合の分析状況だけではなく、実際に社内外の現場を訪れ、現実に起こっていることを把握しようとします。リサーチに基づいた行動は、信頼性と一貫性のある意思決定を支えるとともに、リスクを最小限に抑え、組織の成功の可能性を高めることができます。

部分と全体の調和を考える

部分と全体の整合性を常に考慮し、調和を図ることができることも、マネジメント能力が高い人の特徴です。例えば、新しい戦略や手法を導入する際には、企業文化や職場環境にどのように影響するかを慎重に評価します。一部の変更が他の部分に及ぼす影響を考え、整合性を保つことで、組織全体の効果を最大化します。

部分と全体のバランスを維持することで、持続可能な成長と効率的な運営が可能となります。結果として、全体の調和が保たれ、各部門が最適なパフォーマンスを発揮できる環境が整います。

柔軟に対応する

固定観念にとらわれず、状況に応じて柔軟に対応する力を持つことも、マネジメント能力が高い人の特徴です。市場や環境の変化に迅速に適応し、最適な解決策を見つけることができるため、組織の競争力を維持することができます。例えば新しい技術やトレンドが出現した場合、既存の方法や枠組み、自分の好みや経験値に固執せず、柔軟に対応することができます。

また、チームのメンバーが直面する問題に対しても、状況に応じたサポートや指導を行い、解決策を提供します。これにより、変化する環境でも組織全体が安定して高いパフォーマンスを発揮できるようになります。

5.マネジメント能力を高める方法

マネジメント能力を高めるためには、いくつか方法があります。まず、視座を高めることです。次に、定期的な内省は欠かせません。また、傾聴力を高めることも重要です。これらの能力を高めるには意識的に実践することが重要です。

視座を高める

マネージャーは、日々の業務に追われるだけでなく、組織全体、業界のトレンド、競合の動向などを捉える必要があります。具体的な方法の例としては、定期的に業界のニュースをチェックしたり、関連するセミナーやカンファレンスに参加したりすることが挙げられます。
これにより、短期的な問題解決だけでなく、長期的な戦略策定や組織の方向性を見据えた意思決定が可能となります。

また、経営学の理論やモデル、フレームワークを学習し、視点を高めることで、より総合的でバランスの取れた判断ができるようになります。

定期的に内省する

内省とは、自分自身の行動や意思決定を振り返り、何がうまくいったのか、何が改善できるのかを考えることです。具体的な方法の例としては、週末や月末に自分の業務を振り返り、成果と課題をリスト化することが挙げられます。これにより、過去の経験から学び、同じミスを繰り返さず、成功の要因を強化することができます。

また、フィードバックを求めることも有効です。部下や同僚からの意見を積極的に受け入れ、他者の視点からも自分を見つめ直すことで、より多角的な自己評価が可能になります。

傾聴力を高める

傾聴とは、単に話を聞くことではなく、相手の言葉に真剣に耳を傾け、理解しようと努める姿勢を指します。具体的な方法の例としては、話を聞く際に相手の言葉を繰り返す「リフレクティブ・リスニング」や、相手の感情に共感を示す「エンパシー」を取り入れることが挙げられます。これにより、部下や同僚のニーズや課題を正確に把握し、適切な対応を取ることができます。

また、非言語コミュニケーションにも注意を払い、相手の表情や態度からも情報を読み取ることが重要です。傾聴力を高めることで、信頼関係が強化され、チームが協働し、結果として組織のパフォーマンスが向上します。


6.マネジメント能力を高める公開講座

マネジメント能力を向上するためには、前述のような日々できる努力もありますが、トレーニングのためのさまざまなセミナーも存在します。セミナーはさまざまなマネジメントレベルに向けてコースがあり、一名から参加できるため、セミナー参加は能力開発に便利な方法です。株式会社ビジネスコンサルタント(以下BCon)でも、多彩な公開講座を提供しており、参考までご紹介します。※弊社の公開講座は企業や団体向けに限定しております。

初級マネージャー向け|チームマネジメントの基礎を学ぶ

ベーシック・マネジメント・プログラム(BMP: Basic Management Program)は、新任マネージャーや管理職を目指す方を対象に、基本的なマネジメントスキルを3日間で習得するプログラムです。具体的には、「管理者に求められる5つの実践スキル」を、マネージャーが直面する状況を想定したケースやワークショップ、ロールプレイを通じて実践的に学びます。

管理者に求められる5つの実践スキル

  1. 職場の存在意義の策定と浸透
  2. 優先順位を意思決定
  3. 労務管理
  4. 心理的安全性の高い職場づくり
  5. 人事評価と人材育成

このプログラムを通じて、新任マネージャーは自身の役割を明確にし、自信を持ってマネジメント業務に取り組めるようになります。さまざまな働き方の方が参加しやすいよう、宿泊型、通い型、オンライン型の3種類を用意しています。

株式会社ビジネスコンサルタントHP|公開講座・セミナー一覧|
BMP(ベーシック・マネジメント・プログラム)

ベテランマネージャー向け|マネジメントの幅を広げる

マネジメント・ディベロップメント・プログラム(MDP:Management Development Program)は、上級あるいは既任マネージャー向けの3泊4日のプログラムです。マネジメント行動の幅(引き出し)を広げ、あらゆるシーンで最大の成果を生み出す力をつける講座です。ビジネスやマネジメントについて“正解のないケース“に取り組み、深い自己理解を促します。

自分ではこれが当たり前という長年のマネジメント観でも、違う見方がある、他者からはこう見える、など他の参加者からの「フィードバック」を直接うけ、「リフレクション(振り返り)」をすることができます。

株式会社ビジネスコンサルタントHP|公開講座・セミナー一覧|
MDP(マネジメント・ディベロップメント・プログラム)

上級マネージャー向け|組織変革マネジメントのリード

オーガニゼーション・ディベロップメント・プログラム(ODL:Organizational Development Leadership)は、経営者や部門長、プロジェクトマネージャーなど組織横断的にマネジメントをする方を対象にした3泊4日のプログラムです。1970年にスタートしたODLは当時から変わらず、集団や組織の効果性を高める「組織開発」というテーマで取り組んでいます。講座の中で「組織開発」の実践に取り組んで成功や失敗を経験できます。

外部環境の変化に対して「時間内での意思決定」や「マトリクス組織運営のノウハウ」「遠隔地のマネジメント」など、経営的視点に立った組織開発の実践や運営そのものを、ケースを通して実体験します。

株式会社ビジネスコンサルタントHP|公開講座・セミナー一覧|
ODL®(オーガニゼーション・ディベロップメント・リーダーシップ)

公開講座ODL ® の紹介とご参加者の声|
中部電力株式会社 ※ご感想動画(約5分)

7.まとめ

マネジメント能力は、現代のビジネス環境でますます重要なスキルです。この記事では、P.F.ドラッカーやH.ミンツバーグのマネジメントの定義やリーダーシップとの違い、マネージャーの具体的な役割、必要なスキルから向上方法までを解説しました。スキルについては、カッツモデルを基に、テクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルの三つを詳しく説明しました。これらをバランスよく習得することで、効果的にマネジメントを行うことができるでしょう。

マネジメント能力の向上を目的として、BConでは多彩な公開講座を提供しています。公開講座では、ポジションに合わせ、基礎から高度なスキルまで幅広く学ぶことができます。自社マネージャーのマネジメント能力向上に課題がある場合、ぜひご検討いただけますと幸いです。不明点やご質問ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

レポート作成:㈱ビジネスコンサルタント 情報サイト事務局