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目標管理(MBO)とは?目的やメリット、運用方法、注意点を解説!

目標管理(MBO)とは?目的やメリット、運用方法、注意点を解説!

目標管理(MBO:Management by Objectives)は、自律的な行動を促進するマネジメント手法です。組織と社員が共通の目標を持ち、社員が積極的に目標設定プロセスに参加することを促します。この記事を通じて、MBOの概要、日本で広まった背景、OKR(Objectives and Key Results)との違い、MBOのメリットとデメリット、さらに効果的な運用方法まで解説します。

1.目標管理(MBO)とは?

まずは、目標管理(MBO)について理解を深めるため、定義や発祥、歴史から解説します。

目標管理(MBO)とは

目標管理とは、組織と社員が共通の目標に向かって効果的に取り組むための管理手法です。この概念は、1954年にアメリカの経営学者ピーター・ドラッカーが著書『現代の経営』で提唱しました。

ドラッカーは著書で「企業は真の意味でチームを組織化し、各メンバーの努力が企業全体の努力となるような体制を築きあげなければならない」と述べています。

また、彼は「目標による管理の最大の利点は、自らの行為を統制することが可能となり、結果として自己統制が働く意欲を高め、最善を尽くそうとする動機づけになること」だと説いています。※1

※1 参考:P.F.ドラッカー『現代の経営』(2006年)ダイヤモンド社

弊社では、目標管理を次のように定義しています。

目標管理は上司と部下が、部下の目標を双方の同意にもとづき設定し、必要な上司の指導を得ながら自主的に遂行し、その達成を振り返り、新たな目標にチャレンジするという一連の活動である。その活動はPlan、Do、Checkであらわすことができる。

目標管理(MBO)のPDCサイクルを表す図
図1 PDCサイクル

参考|ゼネラル・モーターズ社ではじめて制度化された目標による管理

科学的管理法は、目標による管理(訳者注=わが国では目標管理とも呼ばれている)のさきがけであった。1900年代の初期に、デュポン・パウダー社のピエル・デュポンとドナルドソン・ブラウンは、組織および部門の業績を測定するために、コスト統制およびコスト計算に関するテーラーの考えを使った。後にこれらの考えはゼネラル・モーターズ社でアルフレッド・P・スローンによって制度化され、こうした業績は管理者の目標をつくるために用いられたのである。

目標による管理という用語は、1950年代にピーター・ドラッカーがハロルド・スミディとともにゼネラル・エレクトリック社で行った研究にもとづいてつくり出したものであるが、この技法をはじめて実際につかったのは、おそらくスローンであろう。

出典:E.A.ロック、G.P.ラザム訳:松井賚夫、角山剛『目標が人を動かす効果的な意欲づけの技法』(1982年)ダイヤモンド社

MBOの理念とその重要性

目標管理(MBO)は、組織の戦略目標と社員の個別目標を連携させることで、組織全体の効率と効果を最大化することを目指しています。そのために、社員自身も積極的に目標設定に関わります。

また、MBOによって社員は自分のキャリアを見通しやすくなり、モチベーションにつながり、自己管理のスキルも向上します。会社側も、社員の目標とその貢献度を把握できるようになります。MBOは、社員が評価に納得しやすくするために重要な役割を果たします。

2.目標管理(MBO)が広まった時期や背景

目標管理は、主に第二次世界大戦後、日本企業に導入されていきました。急速な産業の拡大に対応すべく、効率的な業務遂行を通じて組織の競争力を高める必要性がありました。ここでは、時期ごとに広まっていった背景や課題を解説します。

MBO導入時期と目的

日本で導入された時期は、大きく四つに分けられます。それぞれの時期において、企業が直面したさまざまな問題を解決するために導入し、運用されてきました。そのため、目的や運用は時代とともに変遷があります。まず、時代の変遷と共に変容したMBOの導入目的について解説します。

目標管理(MBO)の導入時期と目的を表す図
図2 目標管理(MBO)導入時期と目的

導入期:当事者意識の醸成

1950~1960年代のアメリカの経済成長によって、日本企業は生産性の向上と効率化を求められました。ドラッカーが提唱し始めた時期でもあり、日本では米国の影響を受けたほんの一部の企業が導入したという状況でした。この時期のMBOの目的は「当事者意識を高め、それを実現すること」でした。

しかし、組織の方針に基づいた目標を社員に課すことに重点が置かれ、制度による統制が強まり、社員は当事者意識が低くなる傾向にありました。導入組織の多くで目標設定の仕方が大きな課題となったのです。

成長期:OJTによる育成

1970年代のオイルショックが発生した低成長期では、企業はより戦略的な資源の管理と効率的な人材育成が求められました。また、職能資格制度の導入により、社員の能力開発が重視されるようになりました。

この時期のMBOの目的は、オン・ザ・ジョブ・トレーニング(以下、OJT)に目標管理を組み込むことで、社員の成長を促すことにありました。しかし導入後は、OJTの計画不足や面談の形骸化、保有能力と成果の不一致などが問題となり、マイルストーンの設定など計画や目標の細分化による運営の工夫が課題となりました。

成熟期:報酬制度との連動

1990年代のバブル経済崩壊後、企業は成果主義を導入し、効率的で透明な評価システムを求めるようになりました。多くの日本企業が導入し始めたのはこの時期です。この時期のMBOの目的は、組織目標への貢献度と報酬の整合性を反映することでした。具体的には、成果を目標の達成率、能力を保有能力から発揮能力(コンピテンシー)で評価するようになり、報酬との連動がより強くなったのです。

しかし、評価者のスキル不足などが原因で目標が低くなる傾向がありました。このため、挑戦目標をいかに社員に掲げさせるかという点が課題となりました。その根本的な原因として「減点主義」や「現状維持」など、風土の影響があったため、組織文化変革の必要性が高まりました。

再展開期:経営上位概念の浸透

2008年のグローバルでの金融危機(リーマンショック)により、企業を取り巻く環境は激変し、組織再編、パラダイムシフトといった変革が求められました。

この時期のMBOの目的は、組織再編、パラダイムシフトといった企業の経営理念や戦略と深く結びついた上位概念を浸透させることでした。しかし、「失われた20年」を経験した日本企業では、目標を前年踏襲したり、定型業務的な目標を設定したりするような習慣がはびこっていました。

そのため、MBOの運営面で、社員の上位概念と目標の連鎖への理解を深めることがより重要になりました。

3.目標管理(MBO)とOKRの違い

目標管理(MBO)と「Objectives and Key Results(以下、OKR)」は、両者ともに組織の目標達成を促進するための手法です。このセクションでは、MBOとOKRの違いを確認し、理解することで、組織やチームに最適な目標設定手法を選択し、活用するためのヒントを紹介します。

OKRとは

OKRは、組織が主要な目標を設定し、達成するための具体的な成果指標を定める管理手法です。目標の達成度を測る「主要な成果」を設定して、組織が目指すべき目標と社員個人の目標を連鎖させ、目標設定、進捗確認、評価の一連の流れを頻繁に行うことに特徴があります。

MBO、OKR、KPI、KGIの違いとは?目標管理手法を解説MBO、OKR、KPI、KGIは組織の目標を管理する上で重要な役割を果たします。しかし、似たような用語で具体的によく分からない、という方もいるのではないでしょうか。目標管理手法としてのMBOとOKRは、それぞれ異なる特徴を持ち、指標を指し示すKPIやKGIは密接した関係ですが意味は異なります。目標管理を効果的に運用するためには、これらの違いを理解する必要があります。本記事では、それぞれの違い目標管理のメリットやデメリット、活用方法について説明します。...

MBOとOKRの違い

MBOは、先述したように目的によって運用が違いますが、1年間、半期といった比較的、長期の目標を掲げます。また、マイルストーンを設定し、進捗の確認はしますが、最終目標の進捗率は100%が理想とされています。一方、OKRは、容易には達成できない目標(ストレッチゴール)を掲げ、進捗率60~70%で成功とし、1カ月から3カ月のサイクルで回します。

OKRは、MBOの効果をより高めるために開発されたという経緯があり、方針や戦略が頻繁に変わるような組織に向いています。OKRは、MBOよりも変化への柔軟な対応を可能にするマネジメント手法と言えます。

働き方の多様化によるジョブ型雇用の導入や人的資本経営への関心の高まりに伴い、社員の能力開発に対する効果的なマネジメント手法が求められています。このような状況から自己管理能力を向上させる必要性が、ますます高まってくるでしょう。

4.目標管理(MBO)のメリット

目標管理(MBO)は、社員と組織にとって多くのメリットがあります。MBOを導入することで、評価の透明性が向上し、社員の能力開発や自律性を促進します。また、社員が組織に貢献する目標を達成することで、モチベーションを高く維持し、組織全体の生産性と効率性の向上につながります。

評価の透明性向上

目標設定では、測定可能な指標を設定し、その達成率に基づき評価を行うため、評価の透明性が向上します。社員は自分が達成すべき目標と組織目標の連鎖を理解し、貢献度合いや進捗率について理解できます。また、評価基準が明確であるため、ある程度、評価の不公平感が低減され、納得感が得られます。

能力開発や育成

実行時には、進捗のフィードバックが定期的に実施されることで、自身の業務に対する理解を深めることができます。設定された目標は、社員の現在のスキルレベルを考慮しつつ、少し手が届きそうで届かない範囲に設定することが多いため、自己成長を促します。

株式会社ビジネスコンサルタントHP|事例紹介ページ|
計画的な人材育成で組織文化が変わりはじめる〜中期経営計画と連動した階層別研修〜

自己管理力の向上

MBOを通じて、社員は自らの目標と組織目標の連鎖を意識できるようになります。また、目標設定時に具体的な活動に落とし込んで指標化するので、社員は日々の活動の中で何をすればよいのか、具体的に理解できるようになります。このように、目標の指標化によって、社員の自己管理力は高まり、より責任感を持って仕事に取り組むようになります。

モチベーション向上

目標が明確になり、評価の透明性が向上すると、社員は目標達成に対する実感を持てるため、モチベーションが大いに高まります。MBOによって設定された測定可能な目標は、社員の具体的な業務にひもづいているため、改善点を明確にしやすく、自主性が高まります。これにより、自分で決めた目標を達成し、それが評価されたと感じることや、組織に貢献し認められたと感じることができます。このことにより、次の目標設定や達成へのモチベーションが高まります。

5.目標管理(MBO)のデメリット

目標管理(MBO)は運用面で、いくつかのデメリットが存在します。デメリットを理解し、対策を講じることは、MBOの活用に効果的です。

目標の指標化と適用の課題

MBOにおける最大のデメリットは、全ての業務の目標を指標化できるわけではないことです。特に、ルーティンワークをメインに行う部署では、目標を指標化することが難しいため、MBOが形骸化してしまうことがあります。

一方、定量的な業務の場合でも設定した目標が、過度に容易か、逆に現実的に困難なことがあります。目標の指標化と目標設定が適切に行えない場合、目標管理の効果はあまり期待できないでしょう。

管理職の負担の増加

MBOの運用では、個々のメンバーの目標設定支援、進捗の管理、フィードバックとフォローなど、管理に時間と労力がかかります。管理職の負担が増えると、管理職の業務効率が低下し、結果として全体の業績に悪影響を与えることがあります。また、管理職のストレス増加は職場の雰囲気に悪影響を及ぼす可能性があります。

目的と手段の混同のリスク

MBOでは、目標達成することで社員は評価されますが、これが目的と手段の混同を招く原因になることがあります。例えば、目標を設定することが目的化してしまい、実行が伴わないことがあります。また、目標達成するために安易な目標を設定することもあります。さらに、目標達成を最優先するあまり、MBOの本来の目的である、自己管理や成長からかけ離れた活動になってしまうのです。

チームワークの低下

MBOは、管理職とメンバー(本人)との間で目標が共有されますが、チームではなされないため、チームワークを損ねることがあります。また、個人の成果が評価や報酬に影響するため、メンバーは自身の目標に集中し、チーム全体への協力や共通目標への貢献をおろそかにしがちです。

このように、目標達成が過度に促されると、情報共有が減少し、チームメンバー間の信頼関係が弱まる可能性があります。

6.目標管理(MBO)の運用方法

目標管理(MBO)は組織全体の戦略的な方向性を明確にし、個々の目標を設定、実行計画を策定し、進捗を管理することで、最終的に成果を評価するプロセスです。この一連のプロセスは、組織と社員が協力して目標を達成するためのP(PLAN).D(DO).C(CHECK)のサイクルと言えるでしょう(図3)。

目標管理(MBO)の組織目標と個人目標の運用をPDCサイクルで表す図
図3 目標管理(MBO)の運用とPDCサイクル

組織目標と個人目標のすり合わせ

MBOの運用は、組織全体の戦略を共有することから始まります。この段階では、経営層が組織のビジョンと長期的な目標を全社員に共有し、その上で各部門や個人が具体的な目標を設定します。このプロセスは、社員が組織の目指す方向性を理解し、自分たちの日々の業務がどのようにその目標に貢献できるかを把握するために不可欠です。目標が具体的かつ測定可能であることで評価の透明性が保たれ、社員の評価への納得感が高まります。

目標の設定(PLAN)

目標を設定した後は、それを達成するための具体的な行動計画(PLAN)を立てます。この計画には、必要なリソース、期間、具体的なアクションが含まれます。計画の段階では、各チームメンバーの役割と責任を明確にし、必要なサポートやリソースの確保を行います。計画が測定可能な指標であることが、次の“進捗管理と戦略の調整”における成功の鍵となります。メンバーは目標の指標を日単位、週単位まで落とし込み、自己管理します。

目標の遂行(DO)

計画に基づき、実際の行動(DO)に移ります。計画の実行にあたり、メンバーは自己管理する指標を基に活動します。そして、管理職とメンバー間では、定期的な進捗確認を行います。中間評価を通じて、計画に沿って進めているか、設定した目標が適切だったかどうかを確認します。管理職は必要に応じて、戦略の微調整やリソースの再配分を行います。

目標の評価(CHECK)

実施した計画の結果を評価し、フォローする(CHECK)の段階です。管理職は、メンバーの目標がどの程度達成されたかを確認します。重要なのは達成率だけでなく、目標への貢献や達成プロセスを確認することです。フォローは結果だけでなく、その結果に至ったプロセス面も踏まえ、改善点を明らかにします。評価は公平かつ客観的に行い、メンバーの学びを深めます。

7.目標管理(MBO)運用上の注意点

目標管理(MBO)の効果的な運用をするためには、戦略的かつ実現可能な目標設定、目標達成活動の適切性の確保、そして成果とプロセスの包括的な評価が不可欠です。この章では、目標設定の基本原則から、実行と評価の段階まで、MBO運用の各段階で留意すべきポイントを解説します。

目標の連鎖

目標管理では、戦略的かつ実現可能な目標の設定が成功の鍵となります。これには、目標が組織の長期的なビジョンと連動し、同時に現実的で達成可能な範囲であることが求められます。目標が戦略的であるためには、組織全体の目的と直接的に関連している必要があり、それぞれの目標が組織の成果へとつながるよう設計されるべきです。

SMARTの法則に沿って目標設定する

SMARTの法則※2が目標に含められていることは、戦略的かつ実現可能な目標設定に不可欠です。この原則に従って設定された目標は、その進行を具体的に追跡できるようになります。

※2 SMARTの法則とは
1981年に「Academy of Management Review」に掲載された米国のコンサルタントであるジョージ・T・ドラン博士が論文『There’s a S.M.A.R.T. way to write management’s goals and objectives』で初めて提唱されました。SMARTの法則は、5つの要素に沿って明確な目標を設定することで達成の可能性が高まると言われています。その後、有識者によってより使いやすいよう単語が変更され、さまざまなパターンが存在します。

下記に、ミシガン大学ポジティブ組織研究センター創設者の1人であるキム・キャメロン教授の提唱するSMARTな目標要素を紹介します。

5つの要素:Specific(具体的な)、Measurable(測定可能な)、Aligned(連携した)、Realistic(現実的な)、Time-bound(期限が定めた)

出典:「Practicing Positive Leadership Tools and Techniques That create extraordinary results」(2013年)Berrett-Koehler Publisher,Inc. Kim S. Cameron

自主性を尊重する

目標達成を促すためには、管理職が目標をメンバーに与えたり、押し付けたりするのではなく、メンバーの自主性を尊重することが重要です。これにより、メンバーは自らの目標に対して責任を持ち、目標を達成するモチベーションが高まります。

目標達成活動の適切性

目標達成の活動状況は、計画遂行のための日々の活動によって左右します。目標に対する日々の活動が、組織の戦略的な目的に沿って適切に実施されているかを確認することは重要です。

タイムリーにフィードバックをする

目標に対する進捗を定期的に確認し、必要に応じてタイムリーにフィードバックと計画の調整を行うことが重要です。この定期的な進捗確認により、計画の初期段階での小さな誤差を修正し、目標達成の可能性を高めることができます。

成果とプロセスの評価

MBOでの最終評価では、達成した成果だけでなく、そのプロセスを含めて評価することが重要です。これにより、何がうまくいったのか、どのような点が改善される必要があるのかを明らかにし、次の目標設定に生かすことができます。

タレントマネジメントシステムの効果的利用

タレントマネジメントシステムは、社員のスキル、成果、キャリアパスのデータを一元管理することができます。管理職が行う、進捗管理や各メンバー間の目標の連鎖や調整などは、システムを活用することで負担を軽減できます。個々の社員の成長と組織全体の目標達成をサポートします。

また、システムを効果的に活用することにより、人事部門と管理職は、組織目標との連動を確認でき、社員の能力を最大限に生かし、組織全体のパフォーマンスを向上させる戦略を立てることができます。

タレントマネジメントシステムとは?検討のポイントや自組織にあった選び方タレントマネジメントシステムは、組織の重要な資本である、人材の活用を強化するツールです。しかし、多くのツールがある中で「どう選んだらいいかわからない」というご担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、苦労して導入してもそれだけでは効果は発揮されません。システムの機能を十分に理解し活用することで、組織の競争力を高めることができます。本記事では、タレントマネジメントシステムの基本機能とその重要性、適切なシステムの選び方について解説します。...

8.目標管理(MBO)運用に求められるスキル

目標管理(MBO)を成功させるためには、特定のスキルが求められます。管理職、チームメンバーそれぞれ必要なスキルを身につけることで、MBOプロセス全体の効率性が向上し、組織の目標達成を効果的にサポートできるようになります。

管理職に求められるスキル

管理職には、チームメンバーのモチベーションを高め、目標達成へ導くために必要なスキルがあります。このセッションで紹介するスキルを管理職が習得することにより、MBO運営のポイントであるメンバーの自主性を最大限に引き出すことが期待できます。

目標設定スキル

目標設定スキルとは、MBO(目標による管理)の本質を理解し、その基本原則に基づいて効果的な目標を設定する能力です。具体的には、組織全体の目標を明確に把握し、それを部門目標に反映させることが求められます。これにより、各メンバーが共通の目標に向かって努力し、一貫した成果を上げることが可能となります。

また、目標設定スキルには、チームメンバー一人一人に目標を落とし込む際の意識啓発と具体的な手法の習得も含まれます。これにより、組織全体のパフォーマンスを高めるための戦略的な目標設定が可能になります。

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SMART目標を立てるスキル開発

評価スキル

評価スキルとは、従業員のパフォーマンスを公正かつ一貫して評価する能力です。このスキルは、評価の基本原則を理解し、それに基づいて適切な評価を行うことから始まります。さらに、ケーススタディや自己診断を活用して、評価者自身の評価傾向、特に甘辛評価のバイアスを認識することが重要です。

これにより、評価者は自身の評価基準を見直し、公正でバランスの取れた評価を実現できます。評価スキルを磨くことで、従業員のモチベーション向上や組織全体の生産性向上に寄与することができます。

コーチングスキル

コーチングとは、効果的な質問や傾聴、フィードバックを通じて、その人が持つ潜在能力を引き出し、目標達成に必要な能力を自発的に使うよう支援することです。効果的なコーチングスキルを管理職が習得することによって、チームメンバーの自主性をさらに引き出すことができるでしょう。

ポジティブ・フィードバックスキル

「できないこと」ではなく、「どうしたらできるのか」に焦点をあてる、ポジティブ・フィードバックは重要です。これにより、チームメンバーの成果とそれに至ったプロセスに焦点を置くことができます。管理職はポジティブ・フィードバックスキルを習得することで、チームメンバーの努力を認め、さらなる成長を促すことができます。

▼ポジティブリーダーシップについて
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効果的なジョブアサインメントスキル

ジョブアサインメントはメンバーの現在のスキルと目標達成に必要なスキルとをマッチングさせる過程です。効果的なジョブアサインによって、チームメンバーは達成できるかできないかというレベルの目標を達成するプロセスを通じて、成長を実感することができます。

管理職には、現在のスキルだけでなく、チームメンバーに開発してもらいたい能力、興味、キャリアの展望を考慮して、最適なタスクを割り当てるジョブアサインメントスキルを習得することが求められます。

メンバーに求められるスキル

MBOでは、チームメンバー自身の自己管理力が重要です。自己管理力を高める有効な手法として、「ジョブ・クラフティング」があります。この手法を通じて、チームメンバーは自身の職務内容、職場の人間関係、そして自身の業務に対する認識を自ら確認し、自身で働き方の工夫を行うことができるようになります。

目標設定スキル

被評価者における目標設定スキルとは、自身の業務やキャリアの方向性を明確にし、それに基づいて具体的な目標を設定する能力です。まず、組織や部門の全体目標を理解し、その目標に対する自分の役割を認識することが重要です。

次に、SMARTの原則に基づいて、自分にとって適切な目標を設定します。これにより、目標は具体的で測定可能であり、達成可能かつ関連性があり、期限内に達成することが可能となります。

また、目標設定スキルには、定期的に進捗を確認し、必要に応じて目標を修正する能力も含まれます。このスキルを身につけることで、被評価者は自身の成長と成果を効果的に管理し、組織全体の目標達成に貢献することができます。

ジョブ・クラフティングスキル

ジョブ・クラフティングは、仕事の内容、職場の人間関係、そして自分の仕事に対する認識の主要領域に焦点をあてます。具体的には、業務プロセスの再構築、効果的なコミュニケーションの促進、ポジティブな職業観の育成などが期待できます。ジョブ・クラフティングを通じて、メンバーは自身の業務に対し、自分自身で改善できる業務、人間関係、認知を明確にするという自己管理力を高めることができます。

出典:『令和元年度版労働経済の分析』(厚生労働省,2019)
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/19/dl/19-1-2-3_03.pdf

9.まとめ

この記事では、目標管理(MBO)の理念、導入背景、メリットとデメリット、運用方法、必要なスキルについて解説しました。特に、MBOの導入の変遷を確認し、その目的と導入後の課題を理解することは、自社に導入する際の参考となるでしょう。また、運用の重要なポイントとして目標の指標化が重要です。そして、評価では達成度とプロセスを見ることの重要性を説明しました。最後に、メンバーの自主性や自己管理力を高めるために、管理職とメンバーに求められるスキルを紹介しました。これらを研修によって開発することもMBOを運用するために効果的です。MBOを効果的に運用することで、個人のポテンシャルが最大限に活用され、組織の戦略を実現するための活動が実現できます。

レポート作成:㈱ビジネスコンサルタント 情報サイト事務局