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従来の新入社員研修にオンラインをどのように適合させるのか~オンライン研修の組み換えのポイント~

「リモートワーク」や「在宅勤務」という言葉が浸透してきた昨今ですが、皆さまの組織の研修分野において、実施方法や提供ツールはどのように変化したでしょうか。働き方や環境の変化から、自組織にあった研修のやり方等を常に模索しているのではないかと思います。

当然ながら「人材育成は待ったなし」です。年度が替われば新入社員は入社をし、役職に就任する方にも、それ相応の研修が必要です。

このような状況下で、心強い手法として“オンライン活用”があります。なぜならば、オンラインを活用することで、場所を選ばずに学習をすることができるからです。また、オンラインの研修は繰り返し学ぶことができるので、繰り返し学習が必要な研修に適しています。

今回、オンラインを活用した研修としてご紹介するのは「新入社員研修」です。新しく覚えることの多い新入社員研修繰り返し学習ができるオンラインは相性が◎です。

ここでは、従来の新入社員研修にオンラインをどのように適合させていくのかのポイントをご紹介していきます。

従来のカリキュラムの現状把握と整理方法

新入社員研修の種類や目的を明確にする(例)

従来の新入社員研修にオンラインを適合させる上で、まず、従来のカリキュラムの現状把握と整理を行うことが大切です。自組織の新入社員研修をみた時に、どんな種類の取り組みやテーマがあり、それぞれどのような目的で行っているのかを明確にします。例えば、以下のように整理します。

新入社員研修の種類と目的(例)の図
図1 新入社員研修の種類と目的(例)

集合研修とオンライン研修の仕分けの目安

新入社員研修の種類や目的が明確になったら、次に、学ぶ内容や研修運営の性質に合わせて、「集合研修が望ましいもの」、「オンライン研修が望ましいもの」を整理する必要があります。例えば、以下のような観点で整理していきます。

集合研修が望ましい内容とオンライン研修が望ましい内容の図
図2 集合研修が望ましい内容とオンライン研修が望ましい内容

整理ができたら、オンラインとオフライン(集合)を組み合わせたハイブリッド型の研修をどのように作っていくことが望ましいのかについても検討し、研修全体をリデザインしていきましょう。

集合研修がお勧めの研修の具体例

例えば、以下の4つのテーマについては、集合研修がお勧めです。
集合研修が望ましい研修については、無理にオンラインに切り替えないことがポイントです。

集合研修がお勧めの研修(例)の図
図3 集合研修がお勧めの研修(例)

オンラインを活用したカリキュラムを考える際の
押さえるべきポイント

オンライン研修で押さえるべきポイントとは何か

オンライン研修で押さえるべきポイントは、研修構成を抜本的に変え、研修日の前後も学習する機会を設計することです。つまり、以下のように、研修当日をむかえる前に「事前学習」、研修終了後には「事後学習」を設計することが大切です。

オンライン研修の研修構成の図
図4 オンライン研修の研修構成

事前学習について

事前学習とは何か

一般的に事前学習というと、補助学習の意味合いが強いかと思います。しかし、ここで意味する事前学習は、学習効果を高める上で重要な学習です。
例えば、以下のように事前学習を活用するといいでしょう。研修テーマを事前に調べておくことで、研修当日の理解促進に役立ち、自分の知りたいことの整理や状況確認にも役立ちます。

事前学習の活用方法(例)の図
図5 事前学習の活用方法(例)

事前学習を設計する上でのポイント

では実際に、事前学習をどのように設計していったらいいのか、そのポイントについてご紹介します。

  • 動機づけ、興味づけを行う
    受講生に対して、トップからのメッセージ配信や事前質問(何を知りたいかなど)を実施することで、研修に参加する目的意義を学びます。
  • 事前知識をつける
    受講生自身が、受講にあたり必要な知識を事前に学び(動画や配布資料等)、前知識を持つことで研修当日ゼロベースから学ぶより、内容が入りやすく分からないところなどを明確にします。
  • 研修内容を受講生レベルに、よりマッチさせる
    事務局側は、研修前の受講生の理解状況や知識を計測して、レベルに合った研修が設計できます。
  • 受講生の状況を職場と共有する
    受講生の上司やOJT担当者にヒアリングを行うなど、受講生に関わる人を巻き込むことで、受講生のフォローを両面から行い、研修に向けて意識をしっかり持ってもらいます。

動機づけのコツ

前述にて、事前学習を設計する上でのポイントについてご紹介しましたが、その中でも「動機づけ」がとても大切な役割を担います。その動機づけのコツをご紹介します。

受講生の目線(受講しやすさ、意欲が駆り立てられるか)を忘れないこと
研修担当が何を学ばせるか、どう運営するか方針を決めて、当日を迎えるのが研修の一般的な流れです。
そのため、滞りない運営の意識、事務局の管理のしやすさなど、「運営目線」が強くなってしまいがちになり、受講生目線を見落としてしまいます。
研修を企画し、受講してもらう目的は何なのか、自分たちが受講生だったらどのようなプログラムが受講しやすいと感じるか、を考えることが重要です。

例)研修内容/研修時間/課題の量/実践への移しやすさ(=現場で生かしやすいか)

小さな宿題を出すこと
まっさらな状態で研修を受けるよりも、研修に関係する宿題を事前に行ってから研修を受ける方が、当日の理解度合いが進みます。
しかし、だからと言って大きな宿題を出すのではなく、少し調べたらできるレベルの宿題を出すことがポイントです。量が多すぎたり難しすぎたりするものは、受講生に対して拒否感を与えやすく、研修に対してネガティブなイメージを持ってしまう可能性があります。

研修当日について

オンライン研修の種類

オンライン研修には、「協調学習」と「自己学習」の2つの学習方法があります。

協調学習と自己学習の図
図6 協調学習と自己学習

他者とのやり取りを通じて学ぶ「オンライン協調学習」と、自分の理解状況に合わせ自分のペースで学ぶ「オンライン自己学習」を組み合わせたカリキュラムが効果的です。

オンライン時の研修カリキュラム例 その1・その2

前述でご紹介した「新入社員研修の種類(例)」をもとに、オンラインを活用したカリキュラムに置き換えると以下のようになります。

        ~その1~                ~その2~       

オンライン時の研修カリキュラム(例)の図
図7 オンライン時の研修カリキュラム(例)

研修当日を設計する上でのポイント

では実際に、研修当日をどのように設計していったらいいのか、そのポイントについてご紹介します。

  • 主体的に学べる場やコンテンツをそろえる
    受講生から、質問やアンケート、ディスカッションなどの発信がリアルタイムでできるツールを活用することで、双方向にやり取りが可能になります。
  • 90:20:8 の法則を意識する
    集中力の限界は60分~90分、記憶を保持しながら話を聞くことができるのは20分、飽きずに話を聞けるのは8分。この法則を踏まえた上で、自己学習やグループワークなど、8分に1回違うフォーマットを組み合わせた内容を設計します。
  • 横のつながりの時間を設ける
    オンラインコミュニティーの活性化と継続は、関係性の質が鍵になります。そのため、「隙間時間」を設け、集合研修の休憩時間のような雑談を取り入れ、お互いを知る機会を用意します。
  • 丁寧なガイドの用意
    オンライン学習は、曖昧な指示や説明不足の操作説明によって、受講生の学習意欲や集中力が低下してしまいます。シンプルに、分かりやすく、を基本とし、完成した学習内容は、事務局で受講して、操作感を確認します。

受講生同士の関係性強化のコツ

オンライン研修において、よくお聞きするのが、「受講生同士の関係性をどのように強化していったらいいのか」というお悩みです。そのコツをご紹介します。

ゲーム性を取り入れる
オンライン上で学習をすることで、世間話のような会話の機会がなくなってしまいます。また、改めて画面越しに顔を合わせても、何を話すのか考えている間に沈黙になってしまうなど、オンラインならではの悩みがあります。
運営側が「協力が必要になるテーマ」を投げ掛けることで、受講生同士は軸をもとに話し始めることができるので、活発なコミュニケーションがとれるようになります。

隙間時間も研修の時間と捉える
研修カリキュラムを練る時に、学習をするわけでもない時間をわざわざ設けるということに疑問を思うかもしれません。しかし、オンライン研修では、集合研修の休憩時間のように、受講生同士で話す機会がありません。
受講生の関係を構築することは、研修後の学びにも関わってくるので、単なる休憩時間と考えず、受講生にとって必要な時間と考えましょう。

事後学習について

事後学習とは何か

事後学習は、当日学習した内容を受講生に定着させ、受講した効果をより高めるために必要な学習です。例えば、以下のように事後学習を活用するといいでしょう。

事後学習の活用方法(例)の図
図8 事後学習の活用方法(例)

事後学習を設計する上でのポイント

では実際に、事後学習をどのように設計していったらいいのか、そのポイントについてご紹介します。

  • 理解度のフォロー
    オンラインでは、配布や集計、日程調整などの手間が省けるので、研修後もテストや課題提出が容易です。研修内容の理解度確認を行い、不完全な部分は当日使用した学習コンテンツや質問を行い、ピンポイントにカバーができます。場合によっては、web会議システムも利用し、リアルタイムでフォローをします。
  • 学習内容の定着支援のための仕組みづくり
    定期的なフォローのため、復習コンテンツの配信、知識やスキルを測るための定期的な理解度テストの実施をします。また、研修中のグループをラーニングコミュニティーとして活用し、受講生同士で意識を高め合います。
  • 受講生の働く現場の巻き込み
    受講生の学習内容を上司やOJT担当者に共有し、研修結果を報告することで、研修後の受講生に対し的確に指導することができます。また、適宜フィードバックを行うことで、受講生の成長をより促進できます。

定着する仕組みづくりのコツ

前述にて、事後学習を設計する上でのポイントについてご紹介しましたが、その中でも「学習内容の定着支援のための仕組みづくり」はとても重要です。この定着する仕組みづくりのコツをご紹介します。

多少の強制力を課す
受講生に100%の裁量で事後学習を課しても、現実的には日々の忙しさや優先度の関係で後回しになりがちです。運営側で学習期限を定め、期間内で課題を提出してもらう流れをつくることで、受講生の中でも優先順位高く取り組んでもらうことができます。

フィードバックをする
受講生は、提出した課題にフィードバックがないと、提出内容が合っているのか間違っているのか判断ができません。また、一生懸命取り組んだ内容に対して、リアクションがないことで受講生のやる気がそがれていく可能性があります。
運営側や受講生の上司、OJTから適切なフィードバックを受けることで、受講生は間違っている部分を理解するだけではなく、運営側や上司、OJTも受講生の理解度合いを測ることができます。

まとめ

本ページでは、従来の新入社員研修にオンラインをどのように適合させていくのかのポイントについてご紹介してきました。

自組織の従来のカリキュラムの現状把握と整理を行った上で、何を集合研修にし、何をオンライン研修にしたらいいのか、また、両者を組み合わせたハイブリッド型の研修をどのように作っていくことが望ましいのかについても検討し、研修全体をリデザインしていくことが大切です。

また、オンラインを活用したカリキュラムを考える際の押さえるべきポイントをしっかりと押さえた上で、自組織のカリキュラムを再設計していただければと思っております。

レポート作成:㈱ビジネスコンサルタント 情報提供サイト事務局