トレンド情報

2023年度新入社員育成 トレンド紹介セミナー

現在の新入社員育成には、外部環境の変化と新入社員の価値観とに合わせた研修設計が必要です。本レポートでは、弊社が考える新入社員研修のトレンドをご案内します。

※本ウェビナーレポートは、2022年10月20日に実施した「2023年度新入社員育成 トレンド紹介セミナー」の一部をまとめたものです。

<登壇者情報>
株式会社ビジネスコンサルタント
営業本部 ディレクター 松下泰大

人材育成の「リ・デザイン(再設計)」が必要な背景

既にご存じの通り、今、人材育成を考える前提が変わっています。それは、人や方法、社会の変化です(図1)。

三つの変化の図
図1 三つの変化

人、方法、社会の三つの変化

「人の変化」
育ってきた環境や学習内容の変化により、新入社員の価値観、考え方も変化しています。新入社員は生まれた頃からインターネットがあり、家族や人とのコミュニケーションにFacebook、Twitterを使うことが当然のようになっています。また、入社前の学習内容なども変化しています。2020年~2022年の学習指導要領の変更に伴い、小学校ではSDGsの学習、高等学校では家庭科の授業で投資信託の学習内容が追加されています。

「方法の変化」
新型コロナウイルス流行前は、対面による集合研修、職場でのOJTを前提とする人材育成でした。しかし、今はオンライン研修や、デジタルデバイスの活用は当たり前になっています。

「社会の変化」
新型コロナウイルス流行前は、国が推進する働き方改革もなかなか進んでいませんでした。しかし、新型コロナウイルス対策の中で一気に推進され、リモートワーク、時差出勤なども当たり前のようになりました。

上記の変化にどのように対応するとよいのでしょうか。弊社が実施したアンケート(※)結果をご案内します。


(※)2022年9月16日(金)~2022年9月29日(木)に弊社お取引組織対象に実施したアンケート(上場および非上場企業244組織対象)

新入社員育成における課題

新入社員育成における課題をアンケートで聞いたところ、「職場でのコミュニケーション向上」、「メンタル面でのフォロー体制」、「必要な知識・スキルの習得」、「上司、先輩との心理関係の構築」、「メンタル面でのフォロー体制」などが上位でした。(図5)

新人育成を強化していく理由 アンケート結果の図
図2 新人育成を強化していく理由 アンケート結果

新入社員の価値観、社会の変化がある中で、対応した研修を設計する必要があります。新入社員が職場で活躍する力を身に付けるためにも、ニューノーマル時代に対応した人材育成のリ・デザイン(再設計)が必要といえます。

新入社員研修の今までとこれから

新入社員研修の変遷の図
図3 新入社員研修の変遷

2019~2021年度|研修のオンライン化

2019年度までは今までの経験を基に、毎年PDCAサイクルを回すことで新入社員研修を最適化してきました。

2020年度は、新型コロナウイルスで新入社員研修を実施しなかった組織もあり、急激な環境変化に対応する必要がありました。

2021年度は新型コロナウイルスが収まるかどうか、マスクを着用すれば実施可能かどうか、など状況を注視しながら集合研修やオンライン研修、ハイブリッド研修など組織によって実施方法が大きく分かれた年でした。

2022年度|集合研修とオンライン研修のすみ分け

2022年度はワクチン接種が進んだこともあり、可能であれば集合研修に戻していきたいという思いから、ハイブリッドで実施する組織が増えました。これは急速なオンライン化からの反動でもありました。世の中としては、確かに大抵のことはオンラインで学習はできるように整備が進みました。しかし、1~2年、オンライン研修を実施してみてコミュニケーションやチームワークなどのつながりは、オンラインで形成しきれなかったという実感もあったためです。しかし、今、来年度の研修をプランニングしていく中で、本当にそのまま全て新型コロナウイルス流行前の取り組み方に戻していいのか、という疑問の声も頂戴します。

これからの新入社員研修「リ・デザイン」の考え方

本質的に大切なことは、目の前の新型コロナウイルス対応だけではなく、組織内外の環境変化に合わせて最適化をしていくことです(図4)。

新入社員研修のリ・デザインの考え方の図
図4 新入社員研修のリ・デザインの考え方

そのためには、環境変化に合わせて変えなければならないものは何か、変えてはならないものは何かを考える必要があります。手法として、オンライン研修と集合研修の最適化については、それぞれの方法にメリット、デメリットがあるので組み合わせていくことが大切です。何を学ばせたいのかによって学ばせ方は変わってきます。目的や学習内容に合わせて通年学習で考えていく必要があります。

New Normal時代の新入社員育成プランへアップデートする

ここまで、二つのお話をしてきました。一つ目は、人材育成を取り巻く環境が変わっているのにもかかわらず、多くの企業では、その内容がほとんど変わっていないこと。二つ目は、新入社員研修にフォーカスして、新型コロナウイルス前後の変遷と各企業の動向、これからの設計の方向性についてです。ここからは、どのようにリ・デザインをしていくのかをご案内していきます。

研修を価値ある姿へデザインする

まず、重要なのは、目的です。新入社員が集まっているから、短期間で仕事に必要な知識を教えるのではなく、何のために新入社員研修を行うのかを再確認することです。オンラインでも集合でも新入社員研修をイベント化せずに、価値ある姿へデザインすることが重要です。

では、何をどのようにデザインすればいいのかをご案内していきます。

基本形+αで考える(何を強化するのか)

今までの新入社員研修は「ビジネスマナー+仕事の進め方」が基本形でした。そして、その基本形を修めて職場に配属すれば、程よく育成され育ってくれるだろうという考えがありました。しかしながら、前述したOJTのバラツキや、オンライン中心の日常業務などの変化もあり前提が変わってきています。

では前提が変わり、今、何が必要となったのでしょうか。

ビジネスマナーや仕事の進め方は、働く上で変わらず重要です。弊社は、それに加えて「現実社会の中で必要な本質的な力」を開発する必要があると考えています。それは、オンラインの便利さによって、あるいは新型コロナウイルスによってオンラインを余儀なくされたことによって、開発されにくかった能力でもあると考えています。

上記の仮説を基に設計した、弊社のプログラムをご案内いたします。

REALプログラム~現実社会の中で必要な、本質的な力を開発する~

現実社会の中で必要な、本質的な力を身に付けること。それが新入社員研修のアップデートに必要だと考えます。弊社はその本質的な力として四つの力があると考え、その頭文字を集めて“REAL”と呼んでいます。

REALとは

R:レジリエンス(失敗から学んで成長する力)
E:エンゲージメント(将来と今とをつなげる力 / 職場での人間関係をつくる力)
A:エイブル(「できる」までチャレンジする力)
L:リーダーシップ(自ら人に働き掛けて動いていく力)

REALな力を身に付けるプログラム 

REALを開発するための「REALプログラム」では、以下のステップで四つの本質的な力を身に付けていきます。

REALを身に付けるステップ(REALプログラムより)の図
図6 REALを身に付けるステップ(REALプログラムより)

「現場でのOJTのバラツキ」を考えると、もちろん、OJTの仕組みの最適化や担当者の育成も必要です。しかし、新入社員育成は、OJTと新入社員の相互作用によるものだということを考えると、新入社員自体の「REAL」の強化も必要不可欠だと考えます。

まとめ

外部環境の変化により新入社員の考え方、価値観がますます変化してきます。変化に対応するためにも、オンラインなどの形式にとらわれず、トータルで新入社員研修のリ・デザイン(再設計)をすることが大切です。その第一歩は、新入社員が成長するために自社の変えなければいけないこと、変えてはいけないものは何なのかを整理することです。そして、今日においては、新入社員自体の「現実社会の中で必要な本質的な力」を開発することが重要です。

<関連リンク>
2022年度新入社員アンケート調査結果

レポート作成:㈱ビジネスコンサルタント 情報提供サイト事務局

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