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リーダーとマネージャーの違いを解説!役割や必要な能力を理解しよう!

リーダーとマネージャーの違いを解説!役割や必要な能力を理解しよう!

ビジネスの現場で頻繁に耳にする「リーダー」と「マネージャー」。両者の違いについて、ご理解は十分でしょうか?この記事では、リーダーとマネージャーの違い、その役割や必要な能力について詳しく解説します。今後のリーダーやマネージャーの研修や人材育成プランの策定に生かしていただけるよう、実務に役立つヒントをお届けします。

1.リーダーとマネージャーの違いとは

リーダーとは、指導者、先導者といった意味を持ち、リーダーシップを発揮し、目標達成に向けて、組織やチーム、人々を動かす人物を指します。一方、マネージャーとは、組織が円滑に仕事を進められるように組織やチームのマネジメントを担う立場のことです。

ビジネスの現場では「リーダー」と「マネージャー」というそれぞれの役割の違いや必要な能力を明確に理解している人は少ないかもしれません。リーダーシップおよび組織変革の分野で世界的に知られるジョン・P・コッターをはじめとするリーダーシップ論の権威たちは、この違いについて多くのことを示唆しています。ここでは、リーダーとマネージャーの違いを詳しく見ていきましょう。

リーダーとは|方向性を示す存在

リーダーは、チームや組織の方向性を示す役割を担っています。そして、リーダーは長期的なビジョンを描き、そのビジョンに向かってメンバーを導きます。リーダーの役割は、変革を推進し、新しい道を切り開くことです。

リーダーシップとは

ジョン・P・コッターは、リーダーシップを「変革の推進力」として位置付け、リーダーは現状を打破し、新たな方向性を示す力を持つと述べています。リーダーシップ研究の第一人者であるウォーレン・ベニスも、リーダーシップを「ビジョンの共有と人々のエンパワーメント」として捉え、組織に革新と進化をもたらす力と述べています。

また、弊社ではリーダーシップを「与えられた状況の下で特定目標や課題の達成に向かって、個人または集団の活動に影響を与えるパワー(力)の行使のプロセス」と考えています。

リーダーがリーダーシップを発揮することで、チームや組織の成功につながります。

マネージャーとは|管理する存在

一方で、マネージャーは組織の運営を効率的に管理する役割を担っています。具体的には、計画を立て、リソースを配分し、プロジェクトの進捗を管理することで、変革や仕事と人との管理し、組織が計画通りに動くようにすることです。

マネジメントとは

ジョン・P・コッターは、マネジメントは「複雑なシステムやプロセスを安定させ、秩序を維持する力」と言っています。ウォーレン・ベニスは、マネジメントを「人々と仕事の複雑な相互作用を管理する技術」と言っています。

マネージャーは、業務の効率化と成果の最大化を目指し、組織の安定と継続性を保ちます。そして、短期的な目標達成と効率的な運営に焦点を当て、組織の機能や日々の業務が計画通りに進むようマネジメントします。

ジョン・P・コッターは、リーダーとマネージャーはどちらも重要であり、共に組織の成功に不可欠であると強調しています。リーダーが変革を促進し、マネージャーが安定と秩序を維持することで、組織の持続的な成長を支えます。リーダーとマネージャーの役割を理解し、それぞれを業務に生かすことで、組織はより強固で効果的に運営されます。

ジョン・P・コッター|リーダーシップと組織変革の分野の第一人者
ジョン・P・コッターは、33歳という若さでハーバード大学の教授に就任し、同大学の歴史において最年少でこの快挙を成し遂げました。また、ハーバード・ビジネス・スクールで名誉教授であり、これまでに17冊の著書を執筆し、いずれもベストセラーとなっています。彼の研究は、リーダーシップと組織変革の分野において画期的なものであり、その成果は広く認められています。

ジョン・P・コッターは、日本との深い関係を築いてきた研究者でもあります。彼は、日本が生んだ「経営の神様」松下幸之助の経営哲学に強い影響を受けており、ハーバード・ビジネス・スクールで「松下幸之助記念講座リーダーシップ担当名誉教授」の称号を持っています。ジョン・P・コッターは、松下幸之助の思想を世界に広めるとともに、日本企業の成功事例を数多く取り上げ、そのリーダーシップと変革の実践を世界中に紹介してきました。

さらに、ジョン・P・コッターの著書『幸之助論-「経営の神様」松下幸之助の物語』(2008年、ダイヤモンド社)は、日本だけでなく、国際的にも高く評価されています。彼の多くの著作が日本語に翻訳され、日本のビジネスリーダーたちにも広く活用されています。

2.リーダーに求められる役割とは

リーダーには、組織やチームを成功に導くために多くの重要な役割が求められます。ここでは、一般的にリーダーに求められる主要な役割について解説します。

ビジョンの設定

リーダーの重要な役割の一つは、組織やチームのビジョンを設定することです。ビジョンは、組織が目指すべき方向性や未来像を示すものであり、全員の努力を一つにまとめる力を持ちます。ジョン・P・コッターは、効果的にリーダーシップを発揮するためには、明確なビジョンが不可欠であると強調しています。ビジョンが、組織全体の士気を高め、メンバーが目標に向かって進むための動機づけになるからです。

メンバーのエンパワーメント

リーダーは、メンバーに権限を与え、自主性を促進することで、チームのパフォーマンスを向上させる役割も担います。エンパワーメントとは、メンバーが自ら考え、行動できるようにすることです。ウォーレン・ベニスは、リーダーシップを発揮するためには、メンバーの成長を支援し、彼らが自信を持って行動できる環境を整えることが重要であると述べています。

モチベーションとインスピレーション

リーダーの役割として、メンバーのモチベーションを高め、インスピレーションを与えることも重要です。リーダーは、自らの情熱やビジョンを示すことで、メンバーに影響を与え、やる気を引き出します。ジョン・P・コッターは、リーダーはメンバーとの間に感情的なつながりを持ち、精神的な支えとなるべきだと述べています。

変化や新しいアプローチを生み出す

リーダーは、変化を推進し、新しいアプローチを生み出す役割も果たします。そして、常に現状に満足せず、革新的なアイデアや方法を探求し続けます。ジョン・P・コッターは、リーダーシップの一環として、変革を起こす能力が重要であると指摘しています。リーダーは、変化の必要性を認識し、適切なタイミングで新しいアプローチを導入することで、組織の成長と進化を促進します。

リーダーに求められるこれらの役割は、組織の成長と成功に不可欠です。

ウォーレン・ベニス|リーダーシップ研究の第一人者
ウォーレン・ベニスは、アメリカの経営学者として、リーダーシップ論で広く知られています。彼はアンティオクカレッジとマサチューセッツ工科大学(MIT)で学び、第二次世界大戦中には陸軍に従軍しました。

戦後、ウォーレン・ベニスは組織開発やグループダイナミクスの研究に従事し、1950年代には全米教育訓練研究所でチームワークの実験に参加しました。彼はまた、ダグラス・マグレガーの「Y理論」に影響を受け、親しい関係を築きました。

リーダーシップに関する最初の論文を1959年に発表し、1960年代には未来学者としても認知されました。彼はニューヨーク州立大学やシンシナティ大学の学長を務めた後、南カリフォルニア大学のリーダーシップ研究所の教授および初代所長として活躍しました。また、レーガンやカーターなどの大統領顧問、国際的大企業や各国政府のアドバイザーとしても活動しました。

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3.マネージャーに求められる役割とは

マネージャーは、組織運営を支えるために、さまざまな役割を求められます。ジョン・P・コッターは、マネジメントの役割として以下の点を強調しています。

目標設定と計画立案

マネージャーの基本的な役割の一つは、計画の立案と目標設定です。具体的には、組織の目標を達成するために具体的な計画を作成し、必要なリソースを適切に配分することです。目標設定においては、現実的かつ達成可能な目標を設定し、その目標に向かって計画的に進めるための戦略を立てます。計画立案では、必要な資金やリソースを見積もり、効率的な資源配分を行うことで、組織の目標達成をサポートします。

組織化と人員配置

マネージャーは、組織の構造を設計し、適切な人員配置を行う役割も担っています。組織化とは、業務を効率的に遂行するための組織の仕組みやプロセスを整えることです。これには、部門やチームの編成、役割と責任の明確化、コミュニケーションのルートの確立、人材育成や労務管理、評価などが含まれます。ジョン・P・コッターによれば、マネージャーは各メンバーのスキルや適性を考慮し、適切なポジションに配置することで、チーム全体のパフォーマンスを最大化します。

コントロールと問題解決

マネージャーは、プロジェクトの進捗を管理し、問題が発生した際には迅速に対応し、コントロールする役割があります。問題解決においては、発生した課題を迅速に特定し、適切な対策を講じることで、業務の停滞を防ぎます。ジョン・P・コッターは、マネージャーのコントロールと問題解決の能力が、組織の効率的な運営に不可欠であると述べています。

予測可能性の確保と秩序の維持

マネージャーの役割として、計画と結果を詳細にモニタリングし、業務プロセスやリソースの使用において、安定性と一貫性を持たせることが挙げられます。秩序の維持においては、組織内のルールや規範を順守させ、混乱や不確実性を最小限に抑えることが重要です。ジョン・P・コッターは、マネジメントが組織の安定性を保つために重要な役割を果たしていると強調しています。

これらの役割を通じて、マネージャーは組織の効率的な運営を支え、目標達成に向けた道筋を確保します。

4.リーダーとマネージャーに共通して求められる能力

リーダーとマネージャーは、それぞれ異なる役割を担いながらも、共通して求められる能力がいくつか存在します。これらの能力は、組織全体の成功に貢献するために欠かせません。以下に、リーダーとマネージャーに共通して求められる能力を解説します。

先見思考

先見思考とは、将来の可能性を見据えて計画を立てる能力です。リーダーは、ビジョンを設定し、それに向かって組織を導きます。一方、マネージャーも、長期的な目標を達成するために先見思考を用いて計画を立案します。

概念思考

概念思考とは、複雑な問題を理解し、解決するためのフレームワークを活用する能力です。リーダーは、新しいアイデアやアプローチを生み出し、組織の革新を促進するために活用します。マネージャーは、組織の運営を効率的に行うために、概念思考を用いて問題解決の手法を策定します。

体系思考

体系思考とは、個々の要素や事象を相互に関連する全体として捉え、複雑な問題に対して広い視野から原因と影響を分析し、最適な解決策を見出す能力です。リーダーは、組織全体の長期的な目標を設定する際に、個々の要素の相互作用を理解し、組織全体を一貫した方向に導く力が求められます。一方、マネージャーにとっては、日々の業務やプロジェクトを効率的に管理し、チーム内外のリソースやプロセスの連携を最適化するために必要です。

対人対応力

対人対応力は、他者と効果的にコミュニケーションをとり、協力関係を築く能力です。リーダーは、メンバーのモチベーションを高め、エンパワーメントを促進するために対人対応力が求められます。マネージャーは、チームの調整や問題解決において対人対応力を発揮し、組織の円滑な運営を支えます。

セルフコントロール

セルフコントロールとは、自己の感情や行動を適切に制御する能力です。リーダーは、先の見えない困難な状況でもメンバーを鼓舞しなくてはなりません。また、メンバーを統率するためには、どのような状況でも冷静に対処しなくてはなりません。組織内外の調整やコントロールといったストレスが多い業務を遂行するマネージャーにも、セルフコントロールは大切な能力です。この能力は、組織の安定性と持続性を確保するために重要です。

ハイエネルギー

ハイエネルギーとは、日々の業務において高い活力を持ち、困難な状況でもポジティブに行動し続ける能力を指します。この姿勢は、周囲に良い影響を与え、チームの士気やモチベーションを高める重要な要素となります。リーダーやマネージャーがエネルギッシュであれば、メンバーも活力を持って行動し、組織全体のパフォーマンスが向上します。また、エネルギッシュなリーダーは、困難な状況でも前向きに取り組む姿勢を示し、チームを成功へと導く力を発揮します。

結果指向

結果指向は、具体的な目標を達成するために行動を促す能力です。リーダーは、ビジョンを実現するために、組織全体をけん引します。マネージャーは、計画を実行に移し、目標を達成するために仕事を進めます。常に高い成果を求める姿勢は、リーダー、マネージャー共に不可欠です。

株式会社ビジネスコンサルタントHP|
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5.まとめ

リーダーとマネージャーは、組織の成功においてそれぞれ重要な役割を果たします。リーダーシップとマネジメントの違いを理解し、適切な役割を発揮することで、組織は持続的な成長を遂げることができます。

この記事を通じて、リーダーとマネージャーの役割の違いや共通点を把握し、ビジネスの現場でどのように活用できるかのヒントを得ていただけたのではないでしょうか。これからの人事育成施策や社員のキャリア形成支援において、ぜひ役立てていただければ幸いです。

レポート作成:㈱ビジネスコンサルタント 情報サイト事務局