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目標管理シートの書き方とは?項目、職種別例文、メリット、管理方法を紹介

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目標管理シートは、目標管理制度の効果に大きく影響を与える重要な要素の一つです。書き方や運用の仕方によって、企業にとっては事業推進や組織維持に、個人にとってはキャリア形成やモチベーション維持に影響します。本記事では、具体的な例文を交えながら、目標管理シートの作成方法や活用のポイントを解説します。人事制度運用を推進される方にとって、組織や個人が目標達成に向けて効果的な計画を立てるためのヒントを得られます。

1.目標管理シートとは

目標管理シートは、個人やチームが目標を設定し、そのプロセスや達成状況や成果を管理するための書類です。目標設定や進捗状況の記録、振り返り、評価などを行い、成長につなげます。

このシートを使用することで、目標が明確になり、チーム全体で一丸となって取り組むことができます。また、課題やクリアしなければならない点が見えやすくなるので、問題解決策や改善策の検討も促進されます。目標管理シートは組織や個人の目標達成をサポートする重要なツールです。

▼そもそも目標管理(MBO)とはどういうもの?という方はこちらも併せてご覧ください▼
お役立ち記事|目標管理(MBO)とは?目的やメリット、運用方法、注意点を解説!

2.目標管理シートを導入するメリット

目標管理シートを作成することには、組織全体にとって一般的に以下のようなメリットがあります。主なものを4つご紹介します。

①現状把握ができる

目標管理シートは、現在の状況や課題を明確にするために役立ちます。目標設定の前に現状を把握することで、具体的なアクションプランを立てることが可能です。期中でもシートを見返すことで目標を見失わず、進捗や課題を振り返り、目標達成に役立ちます。

②具体的な目標設定につながる

目標管理シートを使うと、曖昧な目標を数値や具体的な行動に落とし込むことが可能です。シートのフォーマットに沿って目標を書き込む過程で、目標がより具体的になり、達成するための具体的なステップを明確にすることができます。これにより、目標の達成可能性が大きく向上します。

③公平な評価を実現できる

目標管理シートには評価基準が明確に記載され、客観的かつ公平な評価が可能になります。従業員は上司と目標を確認し、達成基準も自ら設定するため、納得感の高い評価が実現します。さらに、コメント欄に定性的なフィードバックを記入することで、評価の背景が伝わりやすくなり、次回の目標設定や振り返りに役立ちます。

④継続的な人材育成につながる

目標管理シートは、個々の目標や成果を記録するためのツールでもあります。チームメンバーが自身の目標を設定し、それを達成するための努力を継続することは、個々の成長や人材育成につながります。

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目標管理や評価制度の運用モニタリング・改善

3.目標管理シートに設けるべき10の基本項目

目標管理シートを作成する際には、以下の基本項目を含めることが重要です。これらの項目に基づいて、目標達成に向けた計画や進捗を管理し、評価を行います。

①目標

目標はSMARTの法則(具体的、測定可能、達成可能、関連性、期限)に基づいて設定することが望ましいです(SMARTの法則については後述します)。評価期間で達成するものであり、売り上げ、プロジェクトの納期達成、新規顧客獲得など、業務に直結した目標を設定することで、成果の可視化がしやすくなります。

②評価基準

評価基準では、目標の達成度を評価するための基準や指標を設定します。具体的な数値を設定し、定性的な評価基準を明確にし、目標の進捗状況を把握します。これにより、達成状況の評価が一貫性を持ち、適切なフィードバックが可能となります。

③達成するための行動目標

達成するための行動目標では、目標を達成するための具体的な行動やタスクを列挙します。これにより、目標に向かって進むための計画を立てることができます。計画的なアプローチが可能となり、進捗管理もスムーズになります。

④達成期限

達成期限では、目標を達成するための期限を設定します。期限を明確にすることで、従業員は目標達成に向けて優先順位を付けやすくなり、進捗を見直すタイミングも定めやすくなります。日々の業務における焦点を明確にする重要な要素です。

⑤結果

結果は、得られた成果や実績を記録する項目です。これにより、目標達成の有無や、その効果を数値や定性的な内容で明確に示すことができます。成果の可視化は、従業員の達成感を高め、次の目標に向けたモチベーション向上にもつながります。

⑥振り返り

振り返りは、結果に対し、そのプロセスを分析するステップです。結果に至った要因や改善点を見直し、次回の目標設定に生かします。振り返りを通じて、業務改善やスキル向上を促進し、個人や組織の成長につなげることが可能です。

⑦ウェート

ウエートでは、各目標の重要度やリソースの配分割合を設定します。全体の中でどの目標が最も重要であるかを明示します。これにより限られた時間とリソースを有効に配分できるようになり、日々目標達成に向けた効率的な計画が立てやすくなります。

⑧自己評価、達成度

自己評価は、設定した目標に対する達成度を振り返り、強みや改善点を確認するプロセスです。達成度は、例えばSからDまでの5段階評価で示すことができます。Sは卓越、Aは期待以上、Bは期待通り、Cは期待未満、Dは改善が必要を示します。0.5刻みでより細かな評価を行うことも可能です。目標設定時に、評価基準を明確にしておくことが重要です。

⑨所属長評価

上長評価は、上司が従業員の目標達成度やパフォーマンスを評価するプロセスです。事実に基づいた評価ができるよう、日常から記録をすることが重要です。上司からのフィードバックを通じて、従業員は自身の強みや改善点を認識し、次の目標設定や業務改善に向けた具体的なアドバイスを受け取ることができます。

⑩所属長所見

所属長所見では、所属部署の長が従業員の結果や振り返りを見て関するコメントや所見を記載します。目標の達成度が個人のスキルや職務グレードに見合ったものであるかを評価し、個人のキャリアや成長に向けた助言を行います。

その他

目標管理シートには、部門や部署全体の目標、個人のキャリア目標などの入力項目がある場合もあります。これにより、上位目標との連携を意識しやすくなるため、従業員の目標が組織の戦略と連鎖しているか確認しやすくなります。

また、被評価者の等級や職務グレードの情報を記載することで、目標設定や評価がそのグレードにふさわしいかを判断する視点が持てるため、検討内容の精度が向上します。

▼目標設定についてさらに詳しく知りたい方は、こちらも併せてご覧ください▼
お役立ち記事|MBO、OKR、KPI、KGIの違いとは?目標管理手法を解説

4.目標管理シートを書くときのポイント

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目標管理シートを書く際に押さえておきたいポイントを4つ解説します。

①組織の目標と連鎖させる

個々の目標は、組織の大局的な目標や戦略と整合性が取れるように設定しましょう。これを「目標の連鎖」と言います。個々の目標が組織の方針や目的に貢献するようにすることで、組織全体が一丸となって目標達成に向けて推進できます。

②SMARTの法則を活用する

SMARTの法則は、目標を効果的に設定するための方法です。SMARTとは、Specific(具体的な)、Measurable(測定可能な)、Aligned(連携した)、Realistic(現実的な)、Time-bound(期限を定めた)の頭文字を取ったもので、目標達成の成功率を高めるための基準を示しています。

この法則は1981年に米国のコンサルタントであるジョージ・T・ドラン博士が「Academy of Management Review」に掲載した論文『There’s a S.M.A.R.T. way to write management’s goals and objectives』で初めて提唱しました。

その後、SMARTの法則は多くの研究者や実践者によって発展、拡張され、多くのバリエーションがあります。上記は、ミシガン大学ポジティブ組織研究センター創設者の一人であるキム・キャメロン教授の提唱するSMARTの法則です。

出典:「Practicing Positive Leadership Tools and Techniques That create extraordinary results」(2013年)Berrett-Koehler Publisher,Inc.  Kim S. Cameron

 特に以下二つの項目を補足します。

測定可能な|定量的な目標が含まれている

目標はできるだけ定量的に設定することが望ましいです。事務やバックオフィス業務では定性的な目標になりがちですが、可能な限り定量化しましょう。定性的な目標は振り返りづらい上に成果が伝わりづらくなってしまいます。定量的な目標は、進捗状況や成果を数値化するため、進捗管理や評価がしやすくなります。

現実的な|目標の難易度に問題がないようにする

目標の設定においては、適切な難易度を保つことが重要です。目標が簡単すぎるとモチベーションが低下し、逆に難しすぎると達成不可能な状況になります。目標を設定する際には、適切な挑戦を意識しましょう。

③目標は適切な数に絞り込む

目標は適切な数に絞り込むことが重要です。目標が多すぎると、優先順位の付け方やリソ
ースの配分が難しくなります。必要な目標を選定し、集中的に取り組むことで、目標達成
の効率が高まります。

④目標が負担になりすぎないようにする

目標は達成することが重要ですが、目標自体が負担になるような状況を避けることが大切です。目標は達成を促進するためのものであるため、それがストレスや過度の競争を生むような状況にはならないように注意しましょう。

5.【職種別】目標管理シートの具体例

目標管理シートは、職種ごとに異なる業務内容に応じてカスタマイズすることが大切です。それぞれの職種に応じた具体的な目標や行動目標を設定することで、従業員が目標達成に向けて取り組むべきポイントが明確になります。本章では、営業職、事務職、技術職など、職種別の目標管理シートの具体例を紹介します。

営業職

営業職は、売り上げや新規顧客獲得など、数値目標が明確で設定しやすい職種です。具体的には、売り上げ目標の達成、新規顧客の開拓、既存顧客との関係強化などが重要な目標となります。また、日々の訪問件数や営業活動の回数といった行動目標を設定することで、目標達成に向けた進捗を管理しやすくなります。

目標設定例
・月度売り上げ目標:◯万円
・新規顧客獲得数を前年比◯%アップ
・重点商材●の販売件数を月◯件達成

達成するための行動目標例
・1日当たりの顧客訪問件数を◯件に増加
・1日当たりの架電件数を◯件に設定
・見込み客へのメールやメルマガ送付を1カ月に◯件実施
・展示会やセミナーに四半期ごとに◯回参加し、リードを増やす

事務職

事務職では、数値目標を設定することが難しいため、業務効率化やミス削減などの改善目標を立てることが一般的です。印刷コスト削減やミス防止、業務の見直しなどが、目標設定の具体例として挙げられます。また、日常業務の改善に向けた小さな行動目標を設定することで、全体的な業務効率の向上を図ります。

目標設定例
・印刷コストを前年比◯%削減
・業務ミスを◯%削減
・書類のデジタル化率を◯%向上

達成するための行動目標例
・モノクロ印刷を基本とし、カラープリントを月◯回以下に抑える
・重要書類にはダブルチェックを導入し、ミスを削減する
・毎月◯件の業務手順の見直しを実施し、改善案を導入する

技術職 エンジニア職

技術職やエンジニア職では、プロジェクトの進捗や製品開発の品質向上を目標とします。新製品開発のリードタイム短縮や既存製品のバグ削減、自己学習を通じた技術力の向上がポイントです。

目標設定例
・プロジェクト完了までのリードタイムを◯%短縮
・製品のバグ発生率を◯%削減
・新しい開発言語を学習し、応用プロジェクトに着

達成するための行動目標例
・1日当たりのコーディング時間を◯時間確保する
・週に1回バグ修正会議を実施し、修正優先順位を決定する
・毎月の技術勉強会に参加し、新技術を業務に反映する

企画・マーケティング職

企画・マーケティング職では、売り上げ向上やブランド認知度の向上が主な目標です。特に、新規企画の提案やマーケティング施策の効果測定が重要です。

目標設定例
・新規商品・サービスの企画提案数を年間◯件
・ブランド認知度を前年同期比◯%向上
・リード獲得数を月間◯件増加

達成するための行動目標例
・月に◯件の市場調査を実施
・月に◯件の新規マーケティングキャンペーンを立案、実施
・会員制交流サイト(SNS)投稿回数を週◯回実施

サービス職

サービス職では、顧客満足度の向上やサービス品質の改善が目標です。具体的な目標としては、クレーム対応時間の短縮やリピート率の向上が考えられます。

目標設定例
・顧客満足度を◯%向上
・クレーム対応時間を平均◯%短縮
・リピート顧客数を前年比◯%増加

達成するための行動目標例
・1日当たりの顧客対応時間を◯分以内に短縮
・クレーム発生時に24時間以内の初回対応を徹底
・リピート顧客に対するフォローアップを月◯回実施

管理職

管理職は、チーム全体のパフォーマンス向上や組織目標の達成を目指します。リーダーシップを発揮し、メンバーを育成するための目標が重要です。

目標設定例
・チームの目標達成率を◯%向上
・メンバーのスキルアップ支援プログラムを実施
・プロジェクト進捗管理の改善で納期順守率を◯%向上

達成するための行動目標例
・週に1回の進捗確認ミーティングを実施
・毎月のメンバー評価フィードバックを実施し、人材育成計画を共有
・プロジェクト進捗をリアルタイムで確認するためのツールを導入

6.目標管理シートを効果的に活用するポイント

目標管理シートを効果的に活用するためには、ポイントがあります。主なものを3つご案内します。

従業員の自主性を重視した目標設定

目標管理シートは、従業員が自ら目標を設定できるようにすることが重要です。自主的に設定した目標は、より強いコミットメントを生み、目標達成に向けた行動を促進します。管理者は従業員の目標設定をサポートしながらも、組織全体の方向性と合致させる役割を果たします。このアプローチは、従業員のモチベーション向上や責任感の醸成にもつながります。

進捗確認面談や上司のフィードバックを反映

目標管理シートは、定期的に進捗確認の場で活用することがポイントです。上司と部下の面談では、目標達成状況や行動計画、未解決の課題を確認し、次の具体的な行動を設定します。この際、上司のフィードバックをもとに改善点を整理し、必要な調整を行うことで、部下のモチベーション向上にもつながります。週次や月次のスケジュールに従い、進捗を確認し、アクションプランを適宜修正しましょう。

状況に応じて目標の修正を実施

ビジネス環境は常に変化しており、目標達成に向けた計画も適宜修正する必要があります。目標管理シートは、進捗状況を見ながら柔軟に目標を見直すためのツールとして活用できます。目標を修正する際は、従業員との対話を通じて新しい目標やアクションプランを策定し、現実的かつ挑戦的な内容にすることがポイントです。これにより、状況に応じた適切な目標設定が可能になります。

▼目標面談について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください▼
お役立ち記事|MBO面談とは?目的や進め方、注意点や効果を引き出すコツまで解説


7.目標管理シートの管理とシステム化

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目標管理シートを効果的に運用するためには、管理体制とシステムの活用が重要です。現在、国内で目標管理や評価をシステム化している企業はまだまだ少なく、Excelや紙での管理が主流です。ここでは、これらの運用における課題とその解決策について考察します。

管理運用上の問題

目標管理シートの運用では、効果的な目標設定や評価を行うために、従業員への周知や定期的なアラート送信が欠かせません。同時に、従業員のプライバシー保護や評価データのセキュリティー確保も重要です。特に、不正アクセスや情報漏洩を防ぐための適切なアクセス制限が必要です。これらの運用は、忙しい人事担当者にとって大きな負担となり、スムーズに進めるためには多くの課題が存在します。

Excelや紙運用のため評価に時間がかかる

各社員や部門ごとに個別のExcelファイルを使用すると、進捗の一元管理が難しくなります。ファイルの統合には時間がかかり、データの不整合や漏れが発生するリスクが高まります。特に、大規模な組織ではファイルが多くなるため、管理の手間が増大し、全体的な目標達成の把握が困難になります。

ヒューマンエラーや更新漏れが発生しやすい

Excelによる評価管理では、複数の担当者が関与することで、バージョン管理が煩雑になり、更新漏れやデータ入力ミスが発生しやすくなります。特に、手動更新によるヒューマンエラーが頻発し、重要な情報が反映されずに評価が遅れるリスクが高まります。これにより、フィードバックが適時に行われず、評価プロセス全体に影響を及ぼします。

各種分析のための評価データの活用ができていない

Excelは基本的な集計には便利ですが、複雑な分析や長期的なデータ管理には限界があります。複数のシートやファイルをリンクさせると、エラーが発生しやすく、データの整合性が保たれないこともあります。長期的なパフォーマンス管理には専用ツールの方が適しています。

タレントマネジメントシステムの活用

こうした課題を解決するためには、タレントマネジメントシステム(TMS)の導入が有効です。TMSは従業員の目標やスキル、キャリア開発計画を一元管理し、リアルタイムで進捗状況を把握できるため、Excelのような手動の更新やバージョン管理の煩雑さが解消されます。

さらに、システムによって管理者と従業員がタイムリーにコミュニケーションを取り、目標の調整やフィードバックを迅速に行うことが可能となるため、目標管理制度の運用精度が高まります。TMSは、セキュリティー面でも高いレベルの保護機能を提供するため、プライバシー性が高いデータの管理にも適しています。

▼タレントマネジメントシステムを詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください▼
お役立ち記事|タレントマネジメントシステムとは?検討のポイントや自組織にあった選び方

8.まとめ

目標管理シートは、組織と個人の目標達成をサポートする便利なツールです。適切な項目を設定することで、目標の明確化と管理が容易になり、達成への具体的な道筋が見えてきます。また、SMARTの法則を活用すると、具体的で達成可能な目標設定が可能となり、モチベーションを高めることができます。従業員の自主性を尊重し、定期的なフィードバックや柔軟な目標修正を行うことで、人材育成と組織全体のパフォーマンス向上が期待できます。

さらに、タレントマネジメントシステムを活用すると、管理運用上の課題を解決し、効率的な目標管理が可能となります。これらのポイントを押さえて目標管理シートを活用すれば、組織と個人の成長を促進し、持続的な成果を生み出すことができるでしょう。現行の目標管理制度やシートの項目、従業員の記載状況がこれでよいのかとお悩みの方がいらしたら、ぜひご相談ください。

レポート作成:㈱ビジネスコンサルタント 情報サイト事務局

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